9月は大学の世界ランキングが発表される月です。
先日発表されたTimes Higher Educationの最新ランキング(2021年)では、ついに中国の清華大学がトップ20に入りました。アジア勢からはトップ100に下記の16校がランクイン。全体的に中国勢の大幅なランキング上昇が目立ちます。東大は2011年のランキングは26位、そこから順位を下げて2018年に46位になりました。近年は徐々に持ち直しつつありますが、中国勢+シンガポール大学の勢いがすごいので、完全に埋もれてしまっている状況です。
20位 清華大学(中国)
23位 北京大学(中国)
25位 シンガポール大学(シンガポール)
36位 東京大学(日本)
39位 香港大学(香港)
47位 南洋理工大学(シンガポール)
54位 京都大学(日本)
56位 香港中文大学(香港)
57位 香港科技大学(香港)
69位 ソウル国際大学(韓国)
70位 復旦大学
87位 中国科学技術大学(中国)
94位 浙江大学(中国)
96位 韓国科学技術院(韓国)
97位 台湾大学(台湾)
100位 上海交通大学(中国)
なお「一流大学」かどうかの境目は、トップ200位に入る大学かどうかで決まると考える人が多いようです。どのランキングでも200位以下は細かい順位がついていないことが多いことに加え、一部の国ではビザ申請にあたり出身大学がランキングで200位以内に入るかどうかで変わってくることが影響しているのかなと思います。
そして日本の大学でこのトップ200に入っているのは、東大と京大の2校のみです。ちなみに日本の私大トップである早慶はこのくらいの順位。学生の優秀さという面で見ればトップ200の海外大学とそんなにかわらない気もしていますが、これが現実です・・・。


日本の大学ランキングが低迷している理由については、英語での論文数の少なさがよく指摘されていますが、文春オンラインで復旦大学の先生がとても興味深い指摘をしていたので、紹介したいと思います。
東大が中国勢より下位に…上海の研究者が見た、大学ランキング・日本「一人負け」の原因(服部 素之)
概要をまとめると次のとおり。
- 「英語圏の大学じゃないから不利」は関係なし。国際化の指標は評価項目全体のごく一部でしかない。
- 主要国の中でほぼ唯一日本だけが科学技術論文の数と質(引用数)で大きく停滞している。
- 研究費配分における「選択と集中」政策と「国立大学の法人化」が影響を与えている。
- 大学院生に対する経済的サポートが他国に比べて薄い(→これにより優秀な学生が大学院に残らない)。
- 共通機器整備制度の拡充等、研究室単位で高額機器を買わなくてよい仕組みが必要。
要するに、金がない→研究費削減→研究がはかどらず理系分野で徐々に沈下・・・ということのようです。我が家も長女はおそらく理系の研究畑に進むことになりそうなので、この記事を読んで、うーんと考えてしまいました。東大京大一直線の学力があれば国内進学でもいいのでしょうが、うちの場合はそうではないので、どうしたものかと。
ちなみに、トップ200、ドイツの大学が22校も入っています。14位のETH Zurich(スイス)など「ドイツ語圏の大学」も入れると、もうちょっと増えますね。大学レベルだと英語のみでOKのところは少なくて、たいていB2-C1レベルの高度なドイツ語力が必要です。長女の場合、やはりドイツ語が鍵になるのかなあ。色々悩み中です。