本帰国をしてから2か月半が経過しました。
先に帰国をされた方からしばしば聞くのが、「日本の学校になじめない」という問題。海外インターと日本の公立校では何もかもが違うので、周囲のなじめずに苦労するという話を結構よく耳にしました。
そんなわけでドキドキしながら本帰国し、新しい生活をスタートさせた我が家ですが・・・今のところ2人とも、日本の公立小学校に楽しく通っています。当初は「インターの方がいい」「日本の小学校はルールとか多くていや」などと言っていた2人ですが、あっという間に慣れました。今は「日本の小学校も大好き!」と言っています。特に次女については、インターに入れるか帰国前にかなり迷った経緯があり、もし不都合があればインターへ転校することも視野に入れていましたが、現状、インターへの転校は選択肢から完全に消えました。
さて、我が家の2人がうまく日本の公立小学校になじめたのは、いくつか理由があると思います。今日はその理由について書き残しておこうと思います。
理由その1:元の小学校に戻った
我が家は持ち家を賃貸に出さず、いつでも戻ってこれる状態で海外に行きました。そして帰国後も元の自宅に戻りました。
我が家は共働きだったので、子供たちは2人とも、0歳児のときから近所の保育園に入っていました。保育園から幼稚園、そして小学校へと進んだので、小学校には小さいときから一緒だったお友達がたくさんいて、2人の帰国を待っていてくれました。
三つ子の魂百までとよく言いますが、これは本当にそのとおりで、小学校高学年になっても、コアになる性格の部分は保育園児のときとあまり変わりがないものなんですね。だから保育園のときによく遊んでいたお友達とはいまだに仲良しです。
昔からの気心の知れた友達が周囲にいることは、子供たちにとって大きな安心材料となりました。子供たちがうまく小学校になじめたのは、そんなお友達の存在がとても大きかったと思います。
理由その2:体験入学
我が家は毎夏7月の1ヶ月間を日本で過ごすようにしていて、その間子供たちを3週間ほど小学校に体験入学させていました。他の欧州赴任組からは「ヨーロッパの夏をエンジョイしないで日本に戻るなんてもったいない」とよく言われましたし、外国人の友人たちからも「学校がおわってまた学校?さすが日本人!」なんて言われましたが、毎年体験入学をさせることに迷いはありませんでした。
体験入学の目的は、我が家の場合、勉強ではありませんでした。日本の学校のルールや作法を自然に身に着けさせること、それから、小さいころからのお友達との「絆」を維持することにありました。すなわち本帰国に向けたソフトランディングのために必要なものと考えていました。結果的には、想定通り、体験入学によってスムーズに新生活に移行できた部分が大きいかなと思います。
理由その3:子供たちの性格
上記に加えて、子供たちの性格というのも影響を与えているかと思います。
周囲の話を聞くと、賢くて芯のあるしっかりしたタイプのお子さんほど、帰国後に日本の小学校になじめない傾向があるように感じました。海外経験があるからこそ見えてくる日本の小学校の問題点。それに対して反発を感じて意見を述べたりするために孤立してしまう。そういう構造があるように見受けられました。
さて我が家の2人の場合ですが、芯がなくてフニャフニャで、脳内がお花畑ですので、あまり日本の小学校の在り方に問題意識を持つことはなかったようです。もちろん違いがあることは分かっていますが、それを問題としては捉えず、単なる違いとして自然に受け止めている感じでしょうか。これはもしかすると、インターで多様な考え方の人たちに触れて、「違うのは当然」という意識を持っていることが影響しているのかもしれません。あるいは、日本の小学校の秩序だった生活にある種の居心地の良さと安らぎを感じている面もあるのかもしれません。
また長女の場合、KYで天然なところも今回はうまくプラスに作用しているのではないかと感じています。帰国子女はやはり目立つので、小学校高学年になると意地悪なことをいう子やマウンティングする子も出てくると思うのですが、長女は気づかずほとんどパススルーしているのではないかと。。。
というわけで、すんなり日本の学校になじめて安心していますが、「うちの子たちっていったい・・・」という思いもあります。というのも、周囲を見ていると、将来グローバルで活躍できそうな利発なタイプの子ほど、日本の小学校に違和感を持つ傾向があるような気がしているからです。すんなり馴染んでいる2人をみてホッとすると同時に、一抹の不安も感じているというのが本音です。
保護者目線でみた日本の公立小学校
さて、本帰国してから子供を日本の公立小学校に通わせるようになり、私もいくつか気づいた点がありますので、最後にその点について少し触れておきたいと思います。
日本の公教育というと、授業を聞いて暗記してテストして・・という印象でしたが、子供たちが小学校で受けている教育を見ると、議論をしたり、グループワークをしたり、発表をしたりと、私が公教育を受けていた30年前よりははるかに「思考過程」を重視したものに変わっていることに驚きました。また子供たちの通う小学校にはPCやiPadもかなりの数があり、様々な場面で教育にITを活用しているようでした。もちろん学校にもよるでしょうし、また担任の先生の力量にもよるでしょうが、我が家の2人の場合には、素晴らしい担任の先生のもと、「これが全部無料でいいの?」と思うくらい、よい教育を受けさせてもらっていると感じています。
ただ気になっているのが、教師への負荷の重さです。日本の公立小の場合、インターに比べてクラスの人数も多く、毎日の宿題チェックもありますので、業務量は相当なものになります。インターの先生たちの1.5倍くらいの仕事をされているような気がします。
IBだモンテだと世の中には流行の教育法が色々ありますが、結局のところ教育の質の決め手になるのは、「教師」なのではないかと感じています。多少ハードな仕事であっても、報酬と社会的評価が伴うのであれば、人材確保は可能です。ただそれが日本の公教育で実現できているかというと、はなはだ疑問です。
今回は2人とも素晴らしい担任の先生にあたったのでラッキーでしたが、評判の芳しくない先生の話なども耳に入ってきますし、「突然先生が学校に来なくなって担任が変わった」というような話も聞きます。ですので、次年度以降の次女の教育については不安が残ります。 「能力があって指導への情熱をもった教師が十分な報酬と社会的評価を得られる仕組み」をもっと真剣に考えてほしいなと思います。 頑張っている先生方が正当に評価されるようになれば、保護者としても、安心して「公立小学校」を選択できるのにな・・と思います。