インターの教育が子供の人格形成に与える影響

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最近、ブログを読んでくださっている方や、リアルの友人・知人などから、「IBインターに入れたことによって、子どもの性格や考え方に変化はあった?」「あったとしたら、どういう風に変わった?」という質問をしばしば受けます。

私は自分の子供のことしか分からないですし、「インターに入れた場合」と「入れなかった場合」を比較できるわけではないので、インターの教育がどういう影響を与えているのかは、正直よくわからない部分もあります。ただ、いい意味でも悪い意味でも、「日本でずっと育っていたら、こうはならなかったんだろうな」と感じる部分はあります。

というわけで、今回は、インターの教育が子供の人格形成に与える影響について、私が普段なんとなく感じていることを書いてみたいと思います。

(なお、インターと言っても学校やエリア、人種構成によって色々違いがあるはずだし、入学時の年齢や在学年数などによっても影響は変わってくると思うので、十把一絡げに論じることはできないと思います。あくまで我が家の場合であり、私の個人的な所感である点、ご了承いただければと思います。)

 

多様性に寛容になる

日本の小学校と異なり、インターには様々なお子さんがいます。人種、文化、宗教、母語、考え方、本当にみんなバラバラです。家庭環境も様々で、パパが2人いる同性婚家庭もあれば、シングルママの家庭、養子縁組家庭もあります。共働き家庭もあれば、お母さんが働いてお父さんが主夫というご家庭もあります。それから、学習障害のある子や身体的な障害のある子もいます。

あまりにも色々と違うので、人と「違う」ことがデフォルトになっています。だから「違う」のが当たり前で、違いによって優越感や劣等感を持つことは少ないようです。そして色々と「違い」があっても、気が合う子とは仲良くなれることを本能的に知っているので、表面的な「違い」で友達の範囲を決めるようなこともありません。

インターだと、人種や文化の違いについて寛容になるのは、ある意味当然かもしれません。わが子を見ていて最近気づいたのは、それ以外の「違い」についても非常に寛容であるという点です。

たとえば、長女のクラスメイトにT君という子がいて、以前から長女の話に時折出てきていたですが、最近になって、実はT君が(生物学的には)女子だということを知りました。話を聞いていて「あれ?」と思ったことがあって、「Tって男の子・・だよね?」と確認したら、「えと、心はどっちかというと男の子で、体は女の子?本当の名前はEなんだけど、女子っぽい名前でいやだから、Tにしたんだって」とさらっと言っていました。T君、日本だと「変わった子」扱いされそうですが、長女は「TはT」とごく自然に受け止めていて、びっくりしました。それにしても、最近Eの名前を聞かないなと思っていたのですが、なんとTと同一人物とは!(笑)

自己肯定感が高くなる

IBでは「Self confidenceを育てる」ことがとても重要だと考えられているので、先生たちは、子供たちを大げさなくらいに褒めてくれます。いいところを見つけて、ベタ褒めしてくれます。

下記は数日前に次女の担任の先生から来たメール。一事が万事、こんな感じです。

I just wanted to send a quick email letting you know how impressed I am with XXXX. She is so thoughtful and considerate when working with other students and I’ve been happy to see her becoming more of a leader when she is working in a small group. She’s a superstar!

日本だと、先生の誉め言葉は、「とてもまじめでしっかりしている」「みんなのお手本」くらいが関の山でしょうが、インターだと「彼女はスーパースターだ!!」ときますからね・・・盛りすぎ(笑)

こんな感じなので、インターでは、自己肯定感が強く、「自分大好き」「自分最高」というお子さんが多いです。もちろんうちの2人も、「自分大好き」人間です。「もし生まれ変わることができるなら、何になりたい?」と聞くと、「自分!」と即答します。2人とも、自分に生まれて超ラッキーと思っているそうです。

 

この点は、我が家では、特に次女の人格形成に大きな影響を与えているように思います。

もともと人見知りが激しく、内気な性格だった次女。日本の幼稚園に通っていたときは「今日も一言も話しませんでした」とよく連絡帳に書いてありました。お遊戯会は彼女にとっては地獄で、いつも泣いていたっけ。保護者参観も大変で、いつも体をこわばらせて泣きそうな顔をしていました。当時は、将来この子はどうなるんだろう・・とかなり本気で心配していました。

それがインターに入ってからどうなったかは、上記先生のメールをみていただければご推察いただけるかなと思います。いまだに初対面の人とすぐに打ち解けるのは苦手ですし、ガシガシ自己主張をするタイプではありませんが、明るくてしっかり者で、みなから可愛がられる女子に成長しました。最近は4~5人程度のグループワークだと自然にリーダーになるようで、ちゃらんぽらんな男子連中をアメとムチで上手にコントロールする技も取得したようです(笑)

「子供をインターに入れてよかった」と感じることは多々ありますが、我が家にとって一番嬉しかったのは、そんな次女の変化かもしれません。

自由な発想力

インターの教育は子供たちの自由な発想力を伸ばしてくれるように感じます。

今でもよく覚えているのが、次女が1年生か2年生のときのアートの授業。「今日は野菜を描いてみましょう」ということで、各テーブルにナスやらキュウリやらが並べられ、それを見ながらみんなで絵具で絵を描いたそうです。

後日廊下に貼られた絵をみてびっくり。普通に野菜の模写をしている子は半分くらいしかいませんでした。野菜が畑に埋まっている絵もあれば、野菜たちが喧嘩している絵もある。ワイルドな抽象画(?)もあれば、野菜が愛を告白するストーリー形式のものもある。見ていて本当に面白かったです。

多分日本で同じことをやったら、似たような絵がずらりと並んで、正確な模写ができている子の絵が褒められるのでしょう。でもインターだと全く違うんですね。

こういう環境で育っているので、子供たちは自然にthink out of the boxになっていくようです。

 

そういえば、数日前のことですが、次女と、次のようなやりとりをしました。

私 「ねえ、もし動物に生まれ変わることができるとしたら、なにがいい?私は犬か鳥だなあ」
次女「私は他の星の生き物がいい」
私 「え、それって『動物』っていう?」
次女「だめ?」
私 「いや別にいいけど。でも他の星の生き物って・・・アメーバーとか微生物でもいいの?」
次女「いいよ。で、あちこち探検する!面白そう~」
私 「そ、そうだね。じゃあ地球上の動物だったら、なにがいい?」
次女「クラゲ。」
私 「・・・」

もう何ていうか、だいたいいつもこんな感じで、予想外のことばかり言うので、話をしていて本当に面白いのです。ほとんどエイリアン!最初はびっくり、でも理由を聞いてみると納得、ということが多いです。

ちなみに長女にも同じ質問をしてみたのですが、こっちは「猫」と、ごくごく普通の回答。インターに通ったら必ずthink out of the boxになるというわけでもないようで、このあたりの2人のキャラの違いも、親からみると色々興味深いです。

問題点

以上3つ、インターに入れてよかった点を書いてみました。

これだけ書くと「インターの教育ってすばらしい!」と感じられるかもしれませんが・・・実はそんなにシンプルでもありません。というのも、上記の3つはいずれもマイナス点にもなりうるからです。

– – –

多様性に寛容 → 競争心がない、「人に負けないよう、自分も頑張ろう」という思いにならない

自己肯定感が高い → 過剰で根拠のない自信、自分を客観視できない

自由な発想力 → 協調性の欠如につながるケースも

– – –

子供たちのインターでは、先生や他のお母さんたちを話をしているときに、特に2番目の「過剰な自信」がよく話題にあがります。

自信があるのはいいことではあるのですが、何の根拠もなく「自分はできる」と主張したり、失敗をしても他人のせいにしたりする子が非常に多いのです。

たとえば、「俺、もっと勉強すれば東大行けたと思うんだよね。」「でもほら、必死こいて勉強して東大に入っても、仕方ないじゃん?だから勉強しなかった。」「つか、ぶっちゃけ東大とか大したことなくね?」なんていう子がいたら・・・たぶん多くの人が「うざっ!!」と感じるのではないかと。子供たちのインターでは、だいたい半分くらいのお子さんが、こういうタイプです(笑)

我が家の2人の場合、そこまで自信過剰にはなっていない・・・とは思いますが、親バカゆえに見えていない部分もあるかもしれません。自己肯定感は高めつつも、自分を客観視できるようにしておくことは大切だろうと感じています。

 

以上、インターの教育と子供の人格形成に与える影響について、普段思っていることをまとめてみました。インターの教育と日本の教育、どちらもいいところも悪いところもあります。両方のいいとこどりをしながら、バランスのとれた素敵な女性に育ってくれたらいいなと考えています。

 

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