2015年6月27日 初稿
2018年9月27日 リライト
私たちの年代では、公文といえば「算数」のイメージが強いと思います。小学校のクラスにいましたよね、公文に行っていて、めちゃくちゃ計算が早い子や、小学生なのに方程式を使ってサササと問題を解いてしまう子。だからでしょうか、公文というと、やっぱり「算数」と思ってしまいます。
最近の公文は、「算数」のほか、「国語」と「英語」もあります。英語については個人的には入門用にはかなり役立ったと思います。今回は「国語」について書いてみようと思います。
公文の国語 メリット
①いろいろな種類の文章を読む機会を与えることができる。
子どもにとって読書はとても大切です。でも、子どもに本を選ばせると、どうしても物語ばっかりになってしまうんですよね。
公文の教材には、自然科学や社会科学などに関する文章もバランスよく出てくるので、いろいろな種類の文章を読むという意味で、非常によかったと思います。マンモスの話や、古代文明の話、オシベメシベの話・・・こういう話は、なかなか自分では読まないので、助かりました。
②自分のペースで勉強できる。
これは他の通信教育にはない利点ですね。先取りによって自分より上の学年の漢字が読めるようになると、読める本もぐっと増えてきて、「読書が楽しい!」と思えるようになる気がします。
③細かい進度管理で目的意識と達成感が得られやすい仕組みになっている。
公文では細かく進度が管理されています。教室の先生によっては、グラフなどを作って目に見える形で進み具合を示してくれることもあります。長い長い階段のなかで、自分がどこにいて、どこを目指すのか。それが分かるので、目標もたてやすいし、目標を達成したときの「やったー」という達成感も得られやすいようになっています。自宅でドリルをやる場合にはこれがなかなか難しいです。
公文の国語 デメリット
①答えを暗記して先に進むようなところがある。
公文で先のプリントに進むには、所定の時間でプリントを終え、かつ、一定以上の正解率を確保することが必要になります。それまでは繰り返し同じプリントをやることになるんですが・・・そうすると、答えを覚えてしまうようになるんですよね。
漢字の勉強はそれでいいと思います。でも、読解問題で答えを覚えてもね・・・意味ないでしょ、と思います。
②繰り返しが多すぎる
上記①とも重なりますが、とにかく同じプリントの繰り返しが多いんですよね。少し難しくなってくると、3~4回の繰り返しはざらです。でも、同じ文章を何度も読むのって子どもにとっても面白くないし、親の側もなんだかイライラしてしまう。苦手な分野については同じような問題を違う文章で繰り返し勉強できるといいなと思うんですが、残念ながらそういう仕組みにはなっていません。
③進度や順位にとらわれてしまう部分がある。
メリット③の裏返しとして、進度や順位が気になりはじめると、進め方について迷走する可能性があるという点があげられるかと思います。
公文の国語は、記憶力がいい子や国語のセンスがある子は、すごいスピードで進みます。それはそれでいいことかもしれませんが、段々と、子どもも親も、進度や全国順位が気になるように・・・。順位があがったら喜び、下がったらがっかりしてしまいます。順位にとらわれて先に進むことに拘るより、本人の実力にあったものをたくさん読ませる方が、国語の力は伸びるはず。順位が気になり始めたら、辞め時かもしれません。
で、公文で国語力はアップするののか?
以上、メリットとデメリットを整理してみましたが、もし上記メリットの①や②を親が自分で子どもに与えてあげられるなら、公文の国語は不要と思います。公文が推薦図書の一覧を公表していますので、これを見ながら図書館で本を選んであげれば、公文に高いお金を払わなくともメリット①は十分に実現できます。(※念のために表の見方を簡単に説明すると、A→小1相当、B→小2相当、以下同様に学年がひとつあがると次のアルファベットになります。)
逆に、多少お金を払ってでもメリットの①や②を手軽に享受したい(仕事が忙しくて図書館に行く時間がない/海外などにいて手軽に日本の本を入手することができない等)ということであれば、公文の国語は役立ちます。ただしこのときは、デメリットの①~③を意識して、進め方について先生とよく話をした方がいいと思います。
公文国語の進度と活用方法 我が家の場合
我が家の2人の進度は以下のとおりです。
長女
継続して受講していたのは年長の3月まで。この時点でFⅡ(小学6年生相当)。小2と小3のとき、夏休み限定で再開。小5の現在はHⅡでストップ中。
次女
年中の12月でA(小学1年生相当)まで進み、海外赴任への帯同のため、いったんお休みに。小1、小2、小3のとき、夏休み限定で再開。小3の現在はDⅡでストップ中。
長女は国語の進度がとても速かったです。ただこれは、理由があります。
当時はまだ幼稚園児だったこともあり、「とにかくたくさんの文章を子どもに読ませたい」「漢字は読みを中心に勉強させたい。書き順などは現時点ではある程度適当でもいいと思っている」と我が家の方針をお教室の先生に予めお伝えした上で、指導をお願いしました。このためプリントの繰り返しは一切なしで、進めるところまで一直線に進ませてもらった結果、こうなりました。
年長のときにやめたのは、文章が難しくなって本人が楽しくプリントをできなくなったためです。具体的には、夏目漱石の『坊ちゃん』が出てきたときに、「女中ってなに?下宿ってなに?もう全然わかんないー!」ということになり、こりゃもう無理だなと判断しました。当時はぐんぐん順位があがり全国2桁に入ったところ、このペースでいけば全国上位者一覧に入れるかも・・・という野望が出てきたところだったので、長女は続けたいということも言っていましたが、私の判断で辞めさせることにしました。
『坊ちゃん』は、現在の教材ではFから消えているようです。おそらく小6でも難しすぎるということになったのでしょう。あそこで辞めるという判断をせず、そのまま続けていたら、相当のレベルまで行っただろうと思います。ただ、時間をかけ、本人にいやな思いをさせ、毎日尻をたたいてプリントをさせても、その努力に見合う成果は得られなかったでしょう。
公文の国語の教材はとてもいいと思います。でも、読解問題で繰り返し同じプリントをやるのは意味がないです。子供にとっても苦痛ですし、お金も無駄になります。進度が先に進んでいると、せっかくここまで来たのにやめるなんてもったいないと思うかもしれません。教室の先生もそうおっしゃるでしょう。でも、よく考えてみてください。公文で先に進むことによるメリットは何だろう?嫌がるこどもに毎日プリントをさせて得られるものは何だろう?親子でこれだけ苦労をして、喧嘩もして、それに見合った学力はつくのだろうか?
進めるところまで進んだらスパッとやめる。親の役割はそのタイミングの見極めだろうと思います。
なお、長女は小1の冬からインターナショナルスクールへ転校していますが、その後驚くべき速さで英語を吸収しました。英語の上達が早かったのは、公文の国語で先取をさせたことにより、母語である日本語の基礎がしっかりできていたことが大きく影響していると思います。次女の方は日本語も中途半端な状況で英語環境に入ったため、残念ながら英語の伸びはいまいち。バイリンガル教育を考えている方にも、公文の国語はおすすめできると思います。