子供と楽しむアイスランド:地球&エコについて学ぶ

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今年の夏の家族旅行、我が家はアイスランドに行ってきました。

我が家は欧州在住なので、普段の旅行は、文化や歴史に触れる旅が必然的に多くなります。そこでこの夏は自然を楽しむ旅行にしようと思いました。候補にあがったのはアフリカとアイスランド。アフリカは治安や衛生上の不安があり、我が家にはハードルが高そうだったので、今回はアイスランドにしてみました。

北の最果てにあるこの国は、人口わずか30万人。2008年の金融危機で一時は破綻の危機に瀕したものの、観光業が牽引役となり、見事に復活を遂げています。公用語はアイスランド語ですが、アメリカやイギリスからの観光客が多く、英語がどこでも普通に通じます。

とはいえ、日本ではまだまだ旅行先としてはマイナーな存在のアイスランド。一時帰国中に「地球の歩き方」を買おうと書店に行ったら、アイスランドはないという。。。そんなにマイナーなのか!

さて、そんなアイスランドを実際に訪れてみてどうだったかですが・・・いやはや、命の洗濯をさせてもらった感じです。手つかずの自然が本当に素晴らしく、すべてが桁違いでした。自然が豊富なナショナルパークがたくさんあるアメリカからも多くの観光客が訪れる理由がよく分かりました。実はアイスランドのあと、イギリスの湖水地方にも滞在したのですが、長年の憧れだった湖水地方が、何だか色あせて感じられたくらいです。

雄大な自然と先進的なエコの取り組み。アイスランド、「旅育」にもとてもいい場所だと思いますので、紹介したいと思います。

氷河を楽しむ

アイスランドは国土の12%を氷河が占めます。郊外に出れば普通に氷河が遠方に見えますが、そのほかにも、氷河が浮いている湖、氷河のトンネル、氷河の欠片が流れ着くビーチなど、見所がたくさんです。

こちらは氷河湖。クルーズに参加したら、氷河の欠片を湖からとって味見させてくれました。約1000年前にできた氷とのことですが・・・冷たくて味はよくわかりませんでした!でも、おいしかった気がする。かき氷機とシロップを持ってくればよかったかも(笑)

こちらは氷河が流れ着く浜辺。ダイヤモンドビーチと呼ばれています。氷の欠片があちこちに散らばっていて、幻想的な風景を作り出しています。ダイヤモンドビーチというネーミングにも納得。

地球の割れ目 ギャウ

アイスランドは、ユーラシアプレートと北アメリカプレートの境界線上にあります。2つのプレートは年に2センチずつ離れていっているそうです。すなわち、アイスランドはプレートが生まれる場所なのです。

アイスランドで東と西に離れていくこの2つのプレートは、今度は地球の裏側でぶつかりあいます。そのぶつかり合う場所が、日本のフォッサマグナです。

(上記画像はWikipediaよりお借りしました)

上記写真はそんなプレートの裂け目(ギャウ)のひとつです。この日は天気が悪かったので写真がいまいちですが、近くに忍野八海アイスランド版のような場所もあり、ハイキングに最適の人気スポットです。裂け目にダイビングで入るDive.Isというツアーもあり、こちらも人気が高いようですが、子供には難しいですね。

温泉&間欠泉

火山の国のアイスランド。あちこちに温泉や間欠泉があります。

首都レイキャビク周辺では、お湯の栓をひねると、硫黄分を含んだお湯がでてきます。外国人のなかにはこのにおいが嫌いな人もいるようですが、我々日本人にとっては草津温泉のにおいです!レイキャビクでは、温泉を水で薄めて温度を下げ、各戸に供給しているそうです。毎日温泉のシャワーが浴びられるなんて、ぜいたくですね。ちなみに我が家の次女、ちょっとお肌が弱く、日本で暑さにやられて汗疹のようなものができていたのですが、アイスランドで過ごしているうちに自然にきれいになりました。たぶん温泉の効用なのではないかと思います。

間欠泉(一定の周期で熱湯を噴出する泉)で有名なのは、レイキャビクから1時間ほどのところにあるゲイシールという場所です。間欠泉は英語でgeyserといいますが、そもそも語源はここの地名なんだそうです。ここにあるストロックル間欠泉は5-10分間隔でガバガバと豪快に吹き上げてくれ、穴から熱せられた水が盛り上がって噴出する瞬間がバッチリ見えるので、なかなか見ごたえがあります。上記の写真は噴出する寸前のもの。噴出直前に一瞬水面が低くなった後、一気に膨張し、噴出します。動画を撮影した後、ゆっくり再生してみたら、青い目玉焼きみたいになっていてびっくりしました。(ちなみに有名なイエローストーンのオールドフェイスフルは60-90分間隔だそうです。ストロックル間欠泉より高く&長く噴き上げますが、噴出を待つだけで結構疲れます・・)

エコについて考える

北の小国アイスランドは、実は世界でも有数のエコ大国。

電力はほぼ100%、再生可能エネルギーで作っています。7割が水力、3割が地熱。日本はわずか20%弱ですので、かなりの違いますね。我が家は時間がなくて行けなかったのですが、一部の地熱発電所は見学可能のようです。

地熱は発電のみならず、温泉・プール施設や、住居の暖房、温室での野菜栽培にも使われています。ちなみに世界最大の露天風呂が有名なブルーラグーンは、地熱発電所の排水を利用したものです。

また水素エネルギー活用への取り組みも積極的に行われており、首都レイキャビク市内を走るバスは水素燃料で走行しています。

特殊な食生活

アイスランドはヨーロッパのほかの国とは距離があることに加え、非常に厳しい自然環境にあるため、食材にも独特なものがあります。

たとえばクジラ。スーパーでミンククジラの肉を売っていたので、買ってみました。両面をさっと強火で1分ずつ焼いてレアで食べるといいようです。怒られてしまうかもしれませんが、マグロと牛肉の中間のような味で、柔らかく、おいしかったです。子供にとってははじめて食べるクジラ。捕鯨の制限は是か非か、家族で話をしながら、味わいました。

また、スキールという無脂肪乳を使った発酵食品が人気で、どこのスーパーでも手に入ります。アイスランドは平均寿命が日本と同じくらい長い国です。厳しい自然のなか長寿が達成されている秘密はスキールにあるとも言われています。ぜひお試しを。

ほかにも、発酵させたサメの肉だとか、パフィン(ペンギンに似た鳥)の肉だとか、トナカイの肉だとか、「えっ」と思う食材や料理がいろいろで、興味深かったです。

アイスランド旅行の課題と解決策

さて、旅行先としてとても魅力的なアイスランドですが、いくつか課題となる点もあります。

(1)とにかく物価が高い!

アイスランド、物価がとても高いです。

たとえば有名なブルーラグーン。時期によって値段が違いますが、私たちが行ったときは大人一人7000円くらいでした。高い!子供が無料だったので我が家は入りましたが、そうでなければ入らなかったかも。

ホテルも☆4の料金で☆2にしか泊まれないイメージです。レンタカーやガソリン代も高いです。ただ、これらは家族旅行だと大幅削減は難しいですね。よってポイントは、食費をいかに抑えるかという点になるかと思います。

外食代はだいたい日本の3倍くらいのイメージです。以前は、家族4人でマックに行くと1万円札が飛んでいくという世界だったようです。金融危機後かなりマシになったそうですが、それでも家族4人でマックに行くと五千円くらいかかります。ファーストフードではなくレストランに行くと大変なことになるのは想像に難くないかと思います。ちなみに観光客に人気の食べ物はホットドックで、だいたいひとつ500円くらいです。

とはいえ子連れだと毎食ホットドックばかりというわけにはいきません。よって宿泊施設は自炊ができるものにすることが必須と思います。野菜は国内産のトマトやキュウリが比較的お手頃な値段で新鮮です(ちなみにこれらの野菜は地熱を利用した温室で栽培されています)。ブロッコリーなどの輸入野菜は色が黄色くなっていたりして新鮮なものを手に入れるのは困難ですが、冷凍のものは比較リーズナブルな値段です。お肉は国内産のラムが臭みがなく非常に美味。ハムやハンバーガーのパテもラムのものがあり、値段も安くおすすめです。サーモンなどお魚もおいしいです。前述のように鯨肉も容易に入手可能です。

(2)年齢制限があるアクティビティが多い

アイスランドで人気があるツアーのひとつに、Inside Volcanoというものがあります。火山の火口の中に入ることができるという、世界でもここにしかない非常に珍しいツアーです。我が家も参加したいと思っていたのですが、「12歳以上」という年齢制限が・・・。微妙な年齢なら参加させてくれることもあるようなのですが、我が家は次女が9歳なので、断念しました。

氷河トレッキングも年齢制限があり、断念しました。靴の上に特殊な金具をつけて氷河の上でトレッキングをするというものなのですが、9歳の次女の足のサイズにあう金具がないとのこと。同じ年齢でも足が大きい男の子なら大丈夫かもしれません。

アイスランドで人気があるツアーは自然の奥深くに入りこむハードな内容になるものが多いので、参加したいツアーがある場合には、予め年齢制限がないかチェックしておくことをおすすめします。また、微妙な年齢の場合はツアー会社と交渉してみるといいと思います。

夏場に楽しいのは滝巡り。豪快な滝、繊細な滝、本当に色々で楽しめます。道路から歩いてすぐのところも多いので、小さなお子さん連れでも楽しめます。

その他アイスランド家族旅行のTips

・アイスランドは夏と冬でできることがちがいます。島内をドライブして自然を楽しむならやはり夏がいいと思います。一方オーロラ観察や氷河の洞窟ツアーに行けるのは冬です。

・物価が高いアイスランドですが、交通違反の罰金もめちゃくちゃ高いようです。スピード違反で10万円とかそういう世界のようです。広大な大地を走るとついスピードが出てしまいますが、十分に注意しましょう。また駐車場も券を買ってダッシュボードに置くことが必要な場所が多いので、要注意です。

・アイスランドは北海道よりやや大きいくらいの島です。観光の拠点は首都レイキャビクにする方が多いと思いますが、レイキャビクとその他のエリアでは天候が異なることがよくあります。天気予報をチェックする際にはエリアごとの天気予報のほか、衛星写真で雲の動きをよく観察しておくとよいと思います。

・アイスランドの水道水は添加物なしの100%天然水で、おいしいです。スイスのエビアンの水道水よりおいしい気がします。だから水を買う必要はありません。水筒か空のペットボトルを持参すると何かと便利です。なお、普通の水と温水は供給源が違い、温水には硫黄分が含まれていますので、料理や飲用には普通の水を使うようにした方がよいです。

・ヨーロッパはトイレが有料のことが多いですが、アイスランドはスーパーに無料のトイレがあることが多かったです。ドライブ旅行の際にトイレに困ったら、スーパーかガソリンスタンドを探すとよいと思います。

うちの子どもたちの感想

さて最後に、アイスランド旅行についてのうちの子どもたちの感想を書いておきます。

まず楽しかったのは、「犬や馬と遊んだこと」「石拾いができたこと」の2つだそうです。おーい、アイスランドまで行って、それかい!(笑)

で、子供が拾ってきた石をさきほど見せてもらったのですが、

あれ、なんかキラキラしてますが・・・?なんだこれー!

長女「それ、かんらん石だと思うよ!きれいだよね~」

この石、大きいものはペリドットと呼ばれ、宝石として取引されているようです。長女によると、「●●の駐車場にね、同じような石ころがたくさんあったよ~」とのこと。「ええええ、もっと大きいペリドットがあったかも!?言ってくれればいいのに!」と言ったら、「えー、『次に行くから石拾いはやめて、さっさと来なさい』って言ったの、ママでしょ・・」とのこと。ああ、私ってば、子どもの足を引っ張るダメ親の典型例ですね(汗)

かんらん石は普通は大陸プレートの下にあって、同じ火山国とはいえ、日本ではほとんど取れないそうです。アイスランドは地下からプレ―トが持ち上がってくる場所だから取れるのかもしれません。こんなところでも地球のダイナミズムを感じてしまいました。

アイスランド、とても気にいってしまったので、今度はオーロラを見に行ってみたいな~と思っていますが、実現できるかどうかは微妙なところ。日本からは遠いのですが、ロンドンからLLCがたくさん出ているので、ロンドン旅行とセットで行くなんていうのも、プランとしてはありではないかと思います。

以上、アイスランドの紹介でした。

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