ドイツ語圏在住の我が家。こちらに来てびっくりしたのが、ボードゲームの人気がとても高いこと。だいたいどこの家に行っても、リビング横の戸棚のなかにたくさんのボードゲームが詰まっています。そしてデパートのおもちゃ売り場でも、ボードゲームコーナーがかなりの面積を占めています。
一説によると、ドイツでは労働者の権利が強く、大人が仕事後に自宅に戻ってくる時間が早いため、家族でゲームを楽しむ慣習が普及したのだとか。寒くて暗い冬が長いことも影響しているのかもしれません。
ちなみにこちら、我が家の近くの公園の様子です。何をしているか分かるでしょうか?
答えは「チェス」でした。ある程度の規模の公園には大きなチェスボード(3m×3mくらい)と木製の駒が置いてあって、おじいちゃんたちの憩いの場になっています。公民館で碁を打つような感じなののだと思います。大きな盤を囲んでみんなでワイワイやるところがちょっと違うかな。この季節はまだ寒いので参加者少な目ですが、夏になるとビール片手に参戦する人たちもいて、かなりの盛り上がりになります。
周囲のボードゲーム熱に影響され、こちらに来る前には「人生ゲーム英語版」くらいしか持っていなかった我が家にも、今は色々なボードゲームがあります。家族で楽しむこともありますが、プレイデイトやスリープオーバーでお友達と楽しむことも。ビデオゲームは日本に比べて普及率が低く、全面禁止というご家庭もありますが、ボードゲームは安心して遊べるので、重宝しています。
というわけで、前置きが長くなりましたが、今回は、ドイツのボードゲームについて書いてみようと思います。ドイツのボードゲームの特徴や選び方、そして我が家の子供たちが気に入っている4つのボードゲームを紹介します。
ドイツのボードゲームの特徴
ドイツのボードゲームの特徴は以下のとおり。
・とにかく種類が多い
・家族で楽しむことが前提なので、ルールが比較的分かりやすい
・しっかりしたつくり&優れたデザインのものが多い(プラスチックよりも木や丈夫な紙を好む傾向あり)
・男女問わず遊べるものが多い
・賞をとっている製品にはマークがついているので、選びやすい
なお、マークにはいくつか種類があるのですが、メジャーで分かりやすいのはドイツゲーム大賞。3種類のトロフィーマークがあり、以下のような違いがあります。家族で遊ぶ場合、このトロフィー(赤か青)のついているものを選べば、外れることはまずありません。
赤:Spiel des Jahres(ドイツ年間ゲーム大賞)。3つのトロフィーのなかで一番古くて権威ある賞です。
青:Kinderspiel des Jahres。子供向けのゲームを対象とする賞。この青いトロフィーがついている商品は小さいお子さんから遊べます。
黒:Kennerspiel of the year。2011年から創設された新しい賞。赤・青がファミリーゲーム対象なのに対して、こちらはより複雑で時間がかかるゲームが対象です。
名古屋大学教授の論文によると、ドイツのボードゲームには以下のような教育的効果があるそうです。
ドイツでは毎年数百ものボードゲームが新たに発売されている。ゲームのテーマは極めて多様であり,我々の生活におけるあ. らゆる社会的なインタラクションを含んでいる。ボードゲームは,思考することや社会的インタラクションの喜びを与えつつ,. 思考の基盤のトレーニングになるという意味で,とても教育的である。(有田隆也 「ドイツのボードゲームの教育的試み」より)
おすすめその1:カタン
ドイツのボードゲームの代表作といえばカタン。ボードゲーム普及を加速させた一作といっても過言ではありません。1995年のSpiel des Jahres(赤トロフィー)受賞作。
カタン島という無人島を舞台に、資源を獲得して島を開拓していくというゲームです。
ルールはちょっと複雑。ただ一度遊べば自然に覚えられるようです。公式youtube(日本語)の説明が分かりやすいかな。
実はカタン、我が家にはありません。というのも、どこの家にも大抵あって、子供たちがよく友達の家で遊んでくるから。そしてなぜか日本で買う方が安くて癪に障るから(こちらでは3000円以上します)。どうせならカタン以外がいいかな?などと考えていて、買わずにここまで来てしまいました。しかし最近長女が「やっぱりカタンが欲しい」と言い出していて、どうしようかと考えているところです。
おすすめその2:カルカソンヌ
カタンの次に有名なのは、カルカソンヌでしょうか。2001年のSpiel des Jahres(赤トロフィー)を受賞しているゲームです。
カルカソンヌは、南仏に実在する城壁に囲まれた街の名称です。我が家も旅行で訪れたことがありますが、中世の趣を残す素敵な場所でした。ただ、多くのドイツ人にとっては、カルカソンヌというと、街よりもこちらのゲームがまず真っ先に思い浮かぶのだとか。そのくらいメジャーなゲームです。
カルカソンヌはカードの絵柄がきれいで、カードをつなげて地図を広げていくのがとにかく楽しいです。スタンダードセットで、城と道のみでポイントを稼ぐシンプルなルールで遊べば、幼稚園児でも遊べます。さらに拡張セットを購入すれば複雑なルールで遊ぶことが可能。拡張セットはばら売りもしていますが、スタンダード+拡張セット4つがついたBOXセットがお得です。我が家はセールのときに思い切ってBOXセットを購入しました。

カルカソンヌ
こちらで買うとスタンダードセットがだいたい25ユーロ(3000円)くらい。日本だと4000円くらいするようなので、日本の方がちょっと高いですね。ちなみにカードとコマに文字は書いてありませんので、言語による違いはルールブックのみです。
おすすめその3:スピンデレラ
こちらはスピンデレラという立体すごろく。2015年のKinderspiel des Jahres(青トロフィー)受賞作。我が家にはお友達からプレゼントでいただいたものがあります。
プレーヤーは3つのアリのコマを持っていて、すべてのアリを最初にゴールさせた人が勝ち。すごろくは立体的になっていて、上からクモがぶらさがっています。プレイヤーはサイコロでクモマークが出たときにこのクモを動かすことができます。クモには磁石がついていて、うまく動かせば敵のアリをキャッチして、スタート地点に戻すことができます。言葉で説明するより動画の方がわかりやすいので、下記にリンクを貼っておきます。
我が家は男子向けのおもちゃやゲームが少ないので、男の子が家に来た時にスピンデレラをよく出します。クモを動かしてアリを捕まえるのが面白いらしく、男子受けがいいゲームです。ルールはシンプルなので、小さい子でもすぐに理解できると思います。
おすすめその4:5 Minutes
こちらは子供の語彙強化にもってこいのボードゲーム。
各プレイヤーにはタイマー(5分にセット)と2種のサイコロが付与されます。自分のターンになったら、タイマーをスタートして、カードを引いて、そのカードに書いてあるアクションを完了させなければなりません。カードには、たとえば「アルファベットカードを引いて出たカードを頭文字にする食べ物の名前を3つあげなさい」なんてことが書いてあります。アクションを完了させたらタイマーをストップさせ、次の人のターンになります。最初に5分の持ち時間を使いつくしてしまった人が負けです。
アクションのなかには、他のプレイヤーと一緒にやるものがあったり、さらには「隣の人とタイマーを交換」なんていうのもあったりします。せっかく頑張ったのに最後でタイマー交換になり、敗北してしまうこともあったりするので、個人的には「このゲーム、どうなの?」と思ったりもするのですが、子供たちはそれが面白いようで、結構よく遊んでいます。
残念ながら日本のAmazonでの取り扱いはないようです。
おまけ:その他のおすすめボードゲーム
ドイツ以外の海外ボードゲームだと、我が家には、ドミニオン、ラッシュアワー、人生ゲーム、クイズ・ミリオネアといったあたりがあります。個人的なおすすめは、人生ゲームとラッシュアワー。
ラッシュアワーは、全世界で300万個売れたというヒット作。一応一種のボードゲームと位置付けられているようですが、一人で遊ぶのが基本のパズルゲームです。知育玩具としても定評があり、教材として使っている学校もあるのだとか。アメリカの製品ですが、実は開発者は日本人で、以前はTOKYO PARKINGという名前だったそうです。なぜか日本での知名度&評判はいまいちなのですが、Amazon comでは760件のカスタマーレビューで★5つと高評価。
人生ゲームは、「運」が占める部分が大きいので、小学校中学年以上になると面白くないかもしれません。一方、英語の勉強ツールとしてはかなり優秀だと思います。詳しくは下記記事ご参照。
以上、おすすめのボードゲームを紹介してみました。
この記事、とても面白く読ませていただきました。我が子も今まで遊んでいたおもちゃをそろそろ卒業する時期に差し掛かり、いよいよ次はコンピューターゲームかなあ、、と思っていたのですが、ボードゲームとは盲点でした!あまり意識したことないですが、モノポリーとスクラブルくらいしか目にしたことなかったです。オススメされてるのはどれも気になりますが、まずはラッシュアワーから試してみようかな。気は早いですが、クリスマスプレゼントにも使えそう♪ 良い記事をありがとうございました!
こんにちは!
ラッシュアワー、日本だとかなりお値段が高いのですが、Nicoさんのお住まいの場所だとどうでしょう。パズル好きのお子さんなら気にいると思います!
カルカッソンヌは2016年版のボックスセットがどうやら近々改訂になるらしく、我が家の近くのデパートでは、定価120ユーロくらいのものがなんと30ユーロという破格の値段で売っていました。2か月くらい前のことです。デパートやおもちゃやさん、お時間があったらチェックしてみてくださいね~。掘り出し物があるかも?