先日、家族でパリへ行ってきました。目的は名画の鑑賞です。
以下、記憶が新鮮なうちに、美術館に焦点をあてて、子連れパリ旅行のエンジョイ方法をご紹介したいと思います。
子連れパリ旅行 治安の留意点
近年、パリの治安は悪化しているといわれます。テロの脅威もありますが、それ以上に私たち日本人が注意しなければならないのは、アフリカ系移民と中国系移民の対立です。中国人と日本人を外見から区別することは難しいので、思わぬところで巻き添えを食らう可能性があります。
海外の大都市では、知らぬ間に危険地域に入ってしまうということがしばしばあります。よってエリアごとの治安情報をきちんと頭に入れておくことは非常に重要です。パリの場合、危険なのは北部。事前の情報収集では下記のサイトが非常に役に立ちました。
【2017年度版】パリの地区別危険度が一目で分かる治安マップを公開。治安の良い・悪いエリアを知りパリ旅行のホテル選びや旅行プラン作りの参考にしてください。
美術館が集まっているのは1区。エッフェル塔があるのは7区。シャンゼリゼ通りと凱旋門は8区。我が家は治安と観光の両方を考えて6区にホテルをとりました。郊外よりはやや値段が高めでしたが、夜間でも危険を感じる雰囲気はなく、快適に過ごすことができました。
なお、パリの地下鉄や路線バスはスリが多いといわれていますが、混雑時でもローマやナポリなどのようにスリ眼を飛ばしている人やロマのティーンエイジャーの集団などはおらず、思ったよりは平和な感じがしました(※あくまでも個人的な感想です)。とはいえ、パリの地下鉄の1回券は子供も大人と同じ料金で、家族での移動はなにげに費用がかさみました。このため途中から我が家はuberメインで移動しました。費用もリーズナブルだし、市内はたくさん走っているので待ち時間も少なく、とても便利でした。ちなみに我が家はヴェルサイユ見学も往復uberを利用しました。パリ市内から所要時間30分、片道32ユーロくらいでした。
パリの三大美術館とは
さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題に入りたいと思います。
パリにはたくさんの美術館がありますが、俗に三大美術館といわれているのは、ルーブル、オルセー、国立近代美術館です。それぞれの特徴は以下のとおり。
ルーブル美術館:3つのなかで最も有名な美術館。館内は広くて迷路のようです。モナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケが有名。
オルセー美術館:印象派の作品が充実している美術館。ゴッホ、ゴーギャン、ルノワール、セザンヌ、モネ、ドガなどが見られます。
国立近代美術館:20世紀の作品が充実している美術館。通称ポンピドゥーセンター。ピカソ、シャガール、マティスなどを収蔵。
我が家は、ルーブルとオルセー、それから上記には入っていませんが、オランジェリー美術館を訪問しました。近代美術館はちょっと離れていたため、断念しました。
たくさんある美術館、日本人的には「やっぱりパリといえばルーブルでしょ!」という感じだと思いますが、広くて移動が大変+いつも混雑しているルーブルは、子連れ鑑賞にはあまり向いていない気がしました。すべての作品を見ることは到底不可能なので、ポイントを絞って館内を回ることになりますが、とにかく広いので、歩く、歩く、歩く。たとえば、中央付近にあるミロのビーナスから、端っこの方にあるフェルメールまで、移動だけで10分以上かかります。
一方、オルセーやオランジェリーは、ルーブルほど混雑しておらず、子連れでも比較的快適に鑑賞できました。ルーブルでは団体旅行客を多く見ましたが、オルセーやオランジェリーにはいませんでした。短い旅行のなかで美術館は一つ見れば十分、そしてどうせなら一番有名なルーブルへ、ということなのでしょう。
ちなみにオルセーもそれなりに広いのですが、見どころが2階のゴッホのエリアと5階の印象派のエリアに固まっているので、ルーブルのように歩き回る必要はありませんでした。
また、オランジェリーはもともと規模も大きくなく、目玉であるモネの睡蓮は作品自体が大きいので、混雑時でも比較的ゆっくり鑑賞できると思います。地下のエリアもピカソやマティス、モディリアーニ、ローランサンと、有名画家の作品がぎっしりで見ごたえがありました。
ミュージアムパス利用がおすすめ
子供の場合、どの作品を気に入るか、実際に連れて行ってみないとわかりません。
我が家の場合、長女はオランジェリーのモネの睡蓮があるエリア、次女はオルセーでやっていたドガの特別展が一番よかったと言っていました。次女はルーブルでモナリザを見るのを非常に楽しみにしていましたが、実際に行ってみると、ガラスに覆われ柵に囲まれていたため、そばに近寄ることができず、非常にがっかりしていました。絵から数メートル離れているのに加えて、絵の表面を覆うガラスの反射で、絵のタッチなどはほとんどわかりませんでした。これだと生で見る意味はほとんどないかな~。「とりあえず、見た」という事実だけが残ったという感じです。
ちなみに、ルーブル、オルセー、オランジェリーの3つの美術館は、位置的には近いところに固まっていて、徒歩で移動可能です。なので、ミュージアムパスを買ってどんどん回って、お気に入りスポットを探すのがいいと思います。
ミュージアムパスを持っていると、チケット購入のための列に並ぶ必要がないので、その点も楽でした。上記のほかにも入れる施設はたくさんあるので(ヴェルサイユや凱旋門もOKです)、十分に元は取れた感じです。
ルーブル美術館 子連れのためのTips
・ルーブルは入口が複数個所あり、有名なガラスのピラミッドの入り口(下記)が一番混雑しています。ピークシーズンは他の入り口を利用した方がいいかもしれません。ただし時期によっては閉まっている入口もありますので、ピラミッド以外から入る場合、事前にHPなどで確認した方がよいです。
・ルーブルのオーディオガイドはニンテンドー3DS。解説が様々な言語で聞けるだけでなく(もちろん日本語も可)、目的の作品までの案内機能がついていて便利でした。普段からDSで遊んでいるお子さんなら容易に操作できるのではと思います。料金は1台5ユーロ、借りるのに身分証明書が必要です。なお、解説は、次女には難しかったようですが、長女には理解できるレベルのものでした。
・ルーブルではモナリザ前は大大大混雑ですが、隣の部屋にある他のダビンチ作品(岩窟の聖母、聖ヨハネ等)はガラガラ。というか、大半の人が気づかず素通りしていました。私たちが熱心に見入っていたらようやく観光客が何組が近づいてきて「あれ、これもダビンチなんだ」と言っていました。こんなにダビンチがそろっているところって、世界でここだけですよ。もったいなーい!
・ルーブルで混雑しているのは、モナリザ、ニケ、ミロのビーナスの3点です。我が家は開館と同時に入り、通り道にあるニケをちらっと見て、モナリザに直行しました。モナリザ前は時間の経過とともに混雑してくるので、朝いちばんに入館できた方はそのままモナリザ直行がいいと思います。
・ルーブル北のエリアは、日系のお店が集中しており、ラーメン屋にうどん屋、おにぎり屋と、実に色々なお店があります。もし旅行中に日本食が恋しくなったら、ぜひ行ってみてください。おすすめはうどんのsanukiya。ミシュランにも掲載されている有名店です。パリジェンヌが手づかみでエビ天を食べている姿にびっくり。ラーメンのNaritakeもおいしかったです。両方とも子連れ+料理シェア、問題なしでした。なお、このエリアは非日本人経営の「なんちゃってジャバニーズレストラン」も多いので、トラップには気を付けてください。
その他Tips
・ヨーロッパでは、フラッシュを使わない撮影はOKの美術館が多いです。お子さんにもカメラを持たせてあげると、喜ぶと思います。渡す前にフラッシュが出ない設定にしておくと安心です。
・オルセーは鉄道駅舎を改造した建物で、あちこちに駅舎の名残が残っています。建物をみながら在りし日の姿にあれこれ想像をめぐらせるのが楽しいです。美術に興味のない男子も、オルセーなら楽しめるかもしれません。
・ヨーロッパの美術館は、大きい荷物をもって鑑賞することがNGとなっていることが多いです。たいてい入口付近の地下に無料のコインロッカーがあり、そこに入れるように指示されます。あくまでも個人的な感覚ですが、バックパック(リュック)はかなりの確率でNGです。一方、女性が肩からかけて持つタイプのバッグは、多少大きめでも問題なしのことが多いです。子連れだとどうしても荷物が増えますが、入口で「さあこれから鑑賞するぞ!」とテンションがあがっているときに「このバッグはロッカーへ」と言われるとちょっと悲しいので、小さめの荷物にしておくのがいいと思います。
・パリの美術館の休館日は月曜か火曜。美術館によって違うので、事前に調べてから出かけましょう。
・名画の予習には以下の一冊がおすすめ。アートに関する子供むけの解説本は色々出ていますが、個人的にはこの一冊が秀悦だと思っています。