アンチ・ハロウィーンな人たち

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すでに日本でもすっかり定着した感のあるハロウィーン。

アメリカに住んでいたときにはその盛り上がりに随分とびっくりしたものです。こういうテイストの行事は日本にはないので、とても新鮮で面白いなと思いました。

それ以来、ハロウィーンは欧米の一大イベントのように考えていたのですが、ヨーロッパに来て子供たちがインターに入ってから、世界には「アンチ・ハロウィーン」の人が意外に多いことに気付かされました。

 

まず、ヨーロッパ(大陸)の場合、そもそもハロウィーンそのものがメジャーではありません。アメリカの文化的影響が強いエリアではさかんなようですが、フランスやドイツではハロウィーンを祝わない場所の方が多いです。「アンチ」というより、「ハロウィーン?なにそれおいしいの?」状態という方が近いかな。ちなみに我が家が住む地区はドイツ語圏ながら外国人率が非常に高いため、この時期はハロウィングッスが街中に散見されます。ただ、これは例外的な事象のようです。

なお、仮装系のイベントとしては2月に謝肉祭(カーニバル/ファッシング)があり、こちらは大いに盛り上がります。有名なのはベネチアのカーニバル(下記写真)ですが、だいたいどこの都市でも、仮装やパレードなど、各種イベントが開催されます。

 

ちなみにハロウィーンはキリスト教とは全く関係ないイベントです。むしろキリスト教では、ハロウィーンを好ましいものではないと位置付けている宗派もあるそうです。理由としては、「子どもたちが悪魔に親近感を持つおそれがある」「子どもの心に有害」といったことが挙げられているようです。特にロシア正教は厳しく、ハロウィーンが禁止されているエリアもあるのだとか。

 

 

さて、子供たちの学校はインターナショナルスクールで、英語圏出身のお子さんが相当数いるため、学校を上げてハロウィーンを楽しみます。子供たちは仮装をして登校し、先生に怖い話を読んでもらったり、学校内をパレードしたり、お菓子を使ったゲームを楽しんだりします。

多くのお子さんはこのイベントを楽しみにしています。ただし、全員が喜んで参加しているわけではありません。今年は長女のクラスのTちゃん(インド人)がお休みでした。信心深いTちゃんにとっては、ゴーストや魔女の恰好をしてどんちゃん騒ぎをすることは、心理的に受け入れがたいことだったのです。ちなみにヒンズー教やイスラム教の方全員がアンチ・ハロウィーンというわけではなく、ご家庭によるようです。

英語圏の出身者でも、アンチ・ハロウィーンの人はいます。長女の友人のKちゃん(ニュージーランド人)のママは、「実はハロウィーンにはあまり子どもを参加させたくないのよね」と言っていました。以前暮らしていた東南アジアの国ではゴーストを聖なるものとして畏怖の対象としていたので、それ以来自分も子どももハロウィーンが苦手になってしまったのだと言っていました。

 

概して言えば、ハロウィーンは日本では「仮装をして馬鹿騒ぎをすることの是非」として議論になることが多いですが、海外では「ゴーストや悪魔を茶化したイベントの是非」として議論になることが多い印象です。

日本人の場合、良く言えば他民族の慣習やイベントに寛容ですが、悪く言えば他者の信仰心や信条に愚鈍な部分があるように思います。海外でハロウィーンを祝う場合には、必ずしも万人がこのイベントを歓迎しているわけではないこと、ハロウィンが自己の信条にそぐわないと感じている人もいることを念頭に置き、行動することが必要だと思います。

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