眞子さまの婚約者が中高時代をインターで過ごしたということで、「インター」という選択肢が俄かに注目を集めているようです。そこで今日は、「インターの卒業生の進路」について、書いてみたいと思います。
インター卒業後の進学先
まずよく話題にのぼるのが、「インター卒業後に日本の大学に入れるのか?」という点。これは、周囲の様子を見る限り、あまり心配なさそうな感じです。子どもたちの通うインター(IB校)の卒業生をみても、IB修了者は早慶に進学する例が多いです。ちなみに以前は帰国生といえば上智やICUという印象がありましたが、最近は早慶にシフトしてきています。特に早稲田は毎年わざわざ欧州に来て各地のインターを回り学校説明会を開催するなど、インター生の獲得に非常に熱心な印象があります。大学のグローバル指向+少子化で、以前に比べてぐんと入りやすくなっているような印象を受けます。
よって、インター卒でも、日本の大学に行くこと自体には困らない感じがします。
ただし、進学先は特定の大学の特定の学部に偏っており、例えば東大などの難関国立大学や、私大の医学部などに行った方というのは、聞いたことがないです。そしてインターの場合、どうしても理系科目が弱くなりがちなので、理系が得意なお子さんや、「医者になりたい!」「科学者になりたい!」というお子さんの場合には、インターは向かないかもしれません。最近は岡山大の医学部がIB枠での募集を開始するなど選択肢が広がりつつありますが、まだ数が少ないですね。これから増えていくのでしょうか。
大学卒業後の進路
それでは、無事にインターから日本の大学に入学し、卒業した場合、どのような道に進むのでしょうか。
大学入試同様、企業のグローバル指向+少子化で、就職戦線も、英語ができるだけで引く手あまたな状況のようです。新卒で入る会社はサクッと決まると思います。
問題はここから先。インター卒や帰国子女組は、日本の有名企業に入っても、「その他大勢」の東大&早慶組のなかではどうしても浮いてしまうようです。同僚からは「あいつは英語だけはできるけど・・」と陰口をたたかれ、上司からも「なんだか不思議な子だね」などと言われる。そのような中、サクッと1~2年でやめてしまう若者も多いようです。苦労して入ったわけではないので、辞めるのも躊躇ないのかもしれません。外資系を選べば企業カルチャーには悩まなくて済みそうですが、競争が激しい場所ゆえの大変さがありそうです。
もし、ジェネラリストではなく、専門を極めるということになると、どうでしょうか。
まず考えられるのは、英語力を生かしてMBA取得という道。ところが、周囲でそのような例は聞いたことがありません。ビジネススクールに入るにはGMATという試験を受けることが必要ですが、GMATはぺーパーテストなので、やっぱり東大などの有名大出身者が圧倒的に強いんですよね。いくら英語ができても、GMATでインター組が東大組と同じ土俵で戦うのは難しいようです。数字に弱いと、米国CPA取得も、厳しいですね。
一方、比較的お手頃なのが、米国の弁護士資格取得。アメリカは州によって司法試験制度が異なりますが、NY州は日本の法学部出身者ならLL.Mと呼ばれる1年間の修士課程を修了すれば、CA州は日本の法曹資格があれば、それぞれ受験可能であり、両州とも難易度はさほど高くありません。ただし、米国の資格だけ持っていても日本ではできることが限られてくるので、日本語力も重要になってきます。できれば日本の法曹資格も取りたいところですが、インターでの在籍期間が長ければ長いほど日本語が弱くなりますので、司法試験が簡単になったとはいえ、日本での資格取得は少し大変かもしれません。
ちなみに「国際弁護士」というのは、外国の弁護士資格を保有する人の俗称であり、別にそういう名前の資格があるわけではありません。大学卒業後に海外に飛び出すならともかく、日本に残って語学力を生かして・・・できるかぎり堅実でステータスのある仕事で・・・でも数学はちょっと苦手・・・となると、実はほとんど選択肢がないのです。なので、小室さんは、消去法で「国際弁護士」を選ばれたのかなという気がしています。
なお、小室さんについては、「華麗な経歴」「スーパーエリート」などと絶賛されていますが、う~ん、どうなんでしょう?個人的には、経歴に一貫性がなく、まだ将来について迷っていらっしゃるのではいう印象を持ちました。
以上、インター生の卒業後の進路について、書いてみました。
インターにいると英語ができるようになるのはプラスですが、必然的に母語である日本語力は弱くなります。また、地域や学校にもよるでしょうが、理系科目は日本の学校よりかなりレベルが低いことが多いです。また、カルチャー的に、大卒後に日本企業になじむのも大変です。
海外大学に進学するならともかく、そうでないなら、インター在籍期間はある程度短く区切らないと、将来の選択肢が狭まってしまうリスクがあるように感じています。
http://biz-journal.jp/2015/11/post_12316.html
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