【記事紹介】学校での競争がよい成績につながるとは限らない(Economist)Competitiveness at school may not yield the best exam results

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Economistが面白い記事を掲載していたので、紹介します。

グラフの見方がちょっと難しいので、ちょっと解説。
まず、●の色は、PISAの学力テストの結果を示しています。平均以上は青で、平均以下は赤。色が濃い方が平均と乖離しています。そしてX軸(横)は、「テスト前に十分勉強していても、不安になる」という質問に対してYesと答えた生徒の割合。すなわち、右に行けば行くほど、「勉強に対して強いプレッシャーがある」ということです。これに対してY軸(縦)は、「クラスのなかでいい成績をとりたい」という質問に対してYesと答えた生徒の割合です。すなわち、上に行けば行くほど、「競争がはげしい」ということです。

 

同じように好成績を残している国でも、たとえばシンガポールのように、両方Yesと答える子が多い(プレッシャーが強く、競争も激しい)な国もあれば、オランダのように、両方Noと答える答える子が多い(プレッシャーが弱く、競争も激しくない)な国もあります。

また、同じように「プレッシャーが強い+競争も激しい」という国であっても、シンガポールのように飛びぬけてよいスコアを出している国もあれば、ドニニカやコスタリカのように、平均を大きく下回るスコアの国もあったりします。

そしてPISAで好成績を残している「青組」でも、東アジア諸国が右上ゾーン(プレッシャーが強く、競争も激しい)に固まっているのに対し、ヨーロッパ諸国は左下ゾーン(プレッシャーが弱く、競争も激しくない)に位置しています。そして面白いことに、アメリカやイギリス、オーストラリアといった英語圏の国々は、ヨーロッパに近いかとおもいきや、みなさんそろって東アジア諸国と同じ右上ゾーンなんですね。

このリサーチ結果から見えてくるのは、競争の激しさやプレッシャーの大きさと、子どもの成績の間には、相関関係はないということ・・らしいです。

 

 

さて、ここで注目すべきは、日本の位置です。日本は、右上ゾーンでも左下ゾーンでもなくて、右下の「プレッシャー強い、競争は激しくない」ゾーンとなっています。実はこの記事は韓国人の友人がシェアしてくれたもので、「日本ってless competitiveだっけ?これ、どうしてこうなっているの?」と聞かれました。

いやー、どうしてって聞かれても、私にもよくわかりません。でももしかしたら、アンケートの聞き方になにか原因があるのかもしれないなと思いました。

Y軸の質問「I want to be one of the best students in my class」を直訳すれば、「私は自分のクラスで一番よくできる生徒の一人になりたい」となります。これでYesかNoか二者択一で答えさせるとしたら、「いや、クラスで一番になることは必要じゃないから・・・」ということで、Noと答える高校生が多いのもわかる気もします。だって重要なのは、クラスのなかで一番になることじゃなくて、全国単位の模試で志望校合格レベルの偏差値をはじき出すことだもんね。

なので、「クラスのなかで・・」と聞くこと自体が、日本人の高校生に限って言えば的外れだったので、こういう結果になっているのではと思いました。本当は他の東アジア諸国同様、「Highly Competitive、High Anxiety」なのではないかしら。どうでしょう。

 

以上、Economistの記事の紹介でした。

 

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