昨日、Presient Familyの最新号のFacebookでの紹介文をみていたところ、「感度の高い母親は習い事も思考力重視」なんて言葉が目にとまりました。
記事自体は読んでいないのですが、どうやら、探究学習やプログラミングをカリキュラムに取り入れている塾の紹介のようでした。
ふ~ん。公文なんぞを子どもにせっせとやらせている人間は、President Family的には、感度がめちゃくちゃ低い母親ということになるのかな~。
最近、教育がらみの記事などを読んでいると、2020年の大学入試改革が間近に迫り、日本全体がちょっとしたパニックに陥っているような印象を受けます。
個人的には、思考力、思考力というけど、「読み・書き・そろばん」の基礎力がしっかりないと、思考もできないんじゃないかしらと思います。アルファベットが分からなきゃ英語の文章は読めないし、数字が分からなきゃデータ分析はできない。そういうのをすっとばして、「思考力を鍛えよう!」と言ってみても・・・どうなんでしょう?
さて、我が家のちびっこふたりが通うIBインターは、まさに探究学習やプログラミングをカリキュラムにふんだんに取り入れているわけですが、そこで現実にどういうことが起きているか、ちょっと紹介してみようと思います。
たとえば算数は、レベル別のグループ学習になっています。それだけ聞くと「さすがインター!」と思われるかもしれませんが、そうしないと授業が成り立たないというのが実情だったりします。10歳や11歳になっても、九九ができない子がゴロゴロいるのです。びっくりですよね。私もびっくりしました。
それでは、計算力がないとどうなるか。たとえば先日、長女のクラスでは、市場経済に関する学習の一環として、各自が事業計画を立て、学校のバザーで実際に商品を売るというプロジェクトをやっていました。目を輝かせて収支のシュミレーションを繰り返し、販売戦略を検討する子たちがいる傍ら、収支計算のところで躓いてブーブー言う子もいたとか。つまり、同じプロジェクトをやらせても、基礎的な学力の違いで、そこから学べることや受け止め方に大きな乖離が出てきてしまうのです。ワクワクするようなプロジェクトも、最初の計算でひっかかれば、苦痛でしかなくなってしまう。それが現実です。
英語力については、インターの場合、全体的に、「Speakingは得意だしListeningも問題ないけど、ReadingやWritingは不得意」という子が多いような印象があります(わが子が逆のタイプなのでそう感じるのかもしれませんが)。次女のクラスメイトなどをみると、ペラペラ英語をしゃべるのにフォニックスは全くわからず本が読めないという子がいたりして、びっくりします。あと、即興で意見を言うのが得意な子が多く、先生が質問をするとすごい勢いでパパパと手があがるのですが、自分の意見を論理立てて説明し、きちんとした文章にできる子は、さほど多くはないように思います。機転は効くけど深い思考はできていない。そんな感じを受けます。
暗記重視の試験から思考力を問う試験へという、2020年教育改革の大きな流れ自体は、歓迎すべきことだと私は思っています。でも、その基礎となる「読み・書き・そろばん」の力を軽視すると、結局は思考力も育たないのではという気がします。いわば砂場にバラの苗を植えるようなものですね。
小学生時代には、今の時代に合致した「読み・書き・そろばん」の力(=思考力を育む土壌)をしっかりつけさせることが一番大切なのではないかというのが私の個人的な考え方です。思考力も大切ですが、それは親子の対話や、本人がやりたいアクティビティのなかで、楽しみながら自然に身につけられればいいなと思っています。その「子どもがやりたいアクティビティ」が自宅でできないものなら、習わせるのもありだとは思います。でも、「思考力を鍛える」という目的で、わざわざ高い金を払い、送迎の手間をかけ、親が選んだアクティビティーに通わせるのは、どうなのかな~と思います。
以上、感度低めの母親のひとりごとでした!
追伸:
最近、教育に関する記事を読んでいると、「違うだろ、それ・・」とストレスたまりまくりなことが多いのですが、いつ読んでも「そのとおり!」と大きくうなずいてしまうのが、ISAKの小林りんさんの記事。最近、文春で連載をされています。かなりおすすめです。ああ、ISAKに中学校があればいいのにな・・。
あとはシンガポール国立大学で教鞭をとっていらっしゃる元国会議員の田村こうたろうさんの記事も面白いです。世界のトップ層とつきあっている方なので、色々な意味で刺激的。ただ、田村さんの場合、お嬢さんの年齢がまだ小さく(4~5歳くらいでしょうか)、インター教育のマイナス面にはまだあまり気づかれていない模様。田村さん、日本の教育にもいい点は色々ありますよ~!