友人らの間で、建国記念の日に東京新聞に掲載されたひとつの記事が話題を呼んでいました。
「この国のかたち 3人の論者に聞く」と題されたその記事では、ダースレイダーさん(東大中退のラッパー)、上野千鶴子さん(東大名誉教授)、デービット・アトキンソンさん(小西美術工藝社社長)の3人が日本の今後について語っていました。
話題になっていたのは、上野千鶴子さんのコメント。「日本人は多文化共生に耐えられない」とした上で、以下のように述べられていました。
日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)六百兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。
このコメントに対して、ネット上では、「これが東大名誉教授の発言とは信じられない」「勝ち逃げ確実な老人だから言えること」「老害とはまさにこのこと」などなど、非難の声が続々と上がっています。上野さんは「のりこえねっと」というヘイトスピーチとレイシズム撲滅を目標にかかげるNPOの共同代表も務めていたため、立場をわきまえない発言だという指摘もありました。
個人的には、この種の人権問題に敏感なはずの上野さんが、「日本は多文化共生に耐えられない」と断言していることに衝撃を受けました。上野さんの発言を批判するのは簡単ですが、その前に、彼女がどうしてそのような結論にたどり着いたのか、その思考過程を知りたいなと思いました。残念ながらその点について言及しているものはなかったので、そのうち中日新聞さんがもっと突っ込んだインタビューでもしてくれればいいなと思っています。
出生率がもっとあがって、移民も受け入れて、日本が国としての活力を維持・向上させていくことができればいいのですが、もしかしたら上野さんのいう「緩やかに衰退していく国」が、より現実的な路線なのかもしれません。ただその場合、海外でも生きていける人たちはどんどん国外に脱出し、残った人たちがわずかなパイを奪いながら「平等に貧乏になる」ことを強いられるのでしょうね。だったら私は、わが子には、親を置いて海外に飛び立って行ってほしいなと思います。
世界のどこにいっても、自力で生きていける人間に育てる。これは我が家の教育の最終目標です。中学受験だとか目の前に現実的な選択肢が色々出てくると、ついつい忘れがちですが、やっぱりこの大目標を忘れちゃいけないなと改めて感じました。
【2月19日追記】
以下にて上野さんの再反論が掲載されていましたので、紹介します。