昨日に続き、児童書のおすすめを一冊ご紹介します。
子どもの本は普段は私が買うことが多いのですが、この本は夫が日本のAmazonからわざわざ購入。日経か何かで書評を読んで、気になっていたようです。
2016年4月の新刊本ながら、Amazonランキング大賞2016(絵本・児童書部門)でも18位に食い込んでおり、よく売れている模様。個人的には、今まで読んだヨシタケさんの絵本のなかで、一番よかったです。いやもしかしたら、あらゆる絵本のなかで、一番かもしれません。
物語は、死んだおじいちゃんの部屋で、孫の男の子が、おじいちゃんが残したノートを見つけるシーンからはじまります。ノートの表紙には、「このあとどうしちゃおう」と書かれていて、死後についてのおじいちゃんの空想が色々と書いてあります。
下記は「いじわるなアイツはきっとこんなじごくにいく」というページの一部。
・トイレが いっこしかない
・まいにち じゅうなんたいそう
・よるねるまえに かなしいおはなしを きかされる
・たんじょうびのプレゼントが ちゅうしゃ
いやいや、つっこみどころが満載で、思わず笑ってしまいます。
そして、ヨシタケさんの絵が、コミカルでかわいくて、見ていてすごく楽しいです。
絵本には、「このあとどうしちゃおう BOOKLET」という小冊子がはさまっていて、ここにヨシタケさんのインタビューが載っています。ヨシタケさんは、お父さんとお母さんを亡くされたときのご自身の経験から、「元気なうちに死について家族で気軽に話し合える機会があった方がいい」と考えるようになったとのこと。そのきっかけになればとの思いから、本書を執筆されたとのことです。
この絵本で面白いなと思うのは、たぶん子どもと大人で、感じ方が違うんだろうなということ。子どもにとっては、「死んだらどうなっちゃうの?」という想像の世界をさらに膨らませてくれる、楽しい絵本です。大人にとっては・・・どうだろう?私はこの絵本を読んで色々なことを考えました。「どうしておじいちゃんはこんなノートを残したのだろう。」「もしかしたら死の恐怖や孤独感と一人で戦っていたのではないだろうか。」なんてことを考えました。年老いると、子供は独立して新しい家庭を作り、配偶者に先立たれ、人は弱く、そして孤独になっていきます。おかしい本のはずなのに、自分の両親の姿とおじいちゃんを重ね合わせ、読みながら涙が出てきてしまいました。もっと親孝行、しないといけないな・・・なんて自分に反省しちゃいました。
ーーーーーーーーーーーー
「このあとどうしちゃおう」は、「ヨシタケシンスケ発想絵本」シリーズの第3弾。第1弾は「りんごかもしれない」、第2弾は「ボクのニセモノをつくるには」です。他の2冊も定評があり、我が家には「りんごかもしれない」もありますが、個人的には「このあとどうしちゃおう」の方が好きです。ちなみに英語版が4月に出る予定のようです。値段は日本語版とほとんど変わらないので、これから購入される方はこちらでもいいかもしれないですね。