ALAのChallenged book リストで「要注意本」をチェックする

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最近、長女の読書(日本語)について、「うおっ、これはまだうちの子に読ませちゃダメだ」とアタフタすることが増えてきました。いわゆる名著と呼ばれるような本やベストセラーでも、性や暴力など、まだ9歳のわが子には読ませたくないような内容が含まれているケースがままあるのです。ちょっと前に、アンネの日記を読んでびっくりという記事を書きましたが、同じようなことが先日また起きてしまって、これはどうしたものかと考えてしまいました。

子どもが図書館から借りた本について、毎回事前に中身をチェックすることは不可能です。でも、どこかでスクリーニングをかける必要がある。そこで、「子どもに読ませるのに注意が必要な本のリスト」のようなものがないか、探してみました。

調べた結果、残念ながら日本語の本については、これといったものはありませんでした。しかしながら英語の本については、アメリカ図書館協会(ALA)がBanned and Challenged Booksというリストを公表していることを発見しました。challengedというとなんか響きが妙にカッコいいのですが、要するに利用者から、「オイ、こんな本を図書館に置くな!」とクレームが出た本ということです。

 

このリストでは、年度別に、アメリカの公立図書館にクレームが入った本のトップ10が公表されています。クレームの主たる理由も簡潔に記載されており、なかなか興味深い内容になっています。

たとえば、2015年のトップ10は以下のとおり。全体的に、過激な性表現を含むもの、宗教的なもの、同性愛やトランスジェンダーをテーマにしたものが多いようです。

   Looking for Alaska, by John Green
Reasons: offensive language, sexually explicit, and unsuited for age group
ベストセラーのティーン向け小説。過激な性描写を多く含むため、このランキングの常連になっている模様。
Fifty Shades of Grey, by E. L. James
Reasons: sexually explicit, unsuited to age group, and other (“poorly written,” “concerns that a group of teenagers will want to try it”)
あのベストセラーもランクイン。まあ確かに子どもが読む本ではないですね。
I Am Jazz, by Jessica Herthel and Jazz Jennings
Reasons: inaccurate, homosexuality, sex education, religious viewpoint, and unsuited for age group
あら、こんな絵本がなぜ?とおもって調べてみたら、トランスジェンダー(体は男の子、心は女の子)の子どもが主人公の絵本だそうです。ちなみにJazzちゃんは実在しますが、めちゃくちゃかわいいです(笑
Beyond Magenta: Transgender Teens Speak Out, by Susan Kuklin
Reasons: anti-family, offensive language, homosexuality, sex education, political viewpoint, religious viewpoint, unsuited for age group, and other (“wants to remove from collection to ward off complaints”)
この本もランキングの常連。同性愛の男の子のお話です。
The Curious Incident of the Dog in the Night-Time, by Mark Haddon
Reasons: offensive language, religious viewpoint, unsuited for age group, and other (“profanity and atheism”)
高機能自閉症の男の子が主人公のミステリー小説。作品としての評価は非常に高く、様々な賞を受賞しているベストセラーです。
 

 

 

 

 

The Holy Bible
Reasons: religious viewpoint
聖書。
Fun Home, by Alison Bechdel
Reasons: violence and other (“graphic images”)
NY Timesのベストセラーになったこの本も、トップ10入り。コミカルな表紙とは裏腹に、同性愛、自殺など、確かに子どもには刺激が強すぎる内容です。
Habibi, by Craig Thompson
Reasons: nudity, sexually explicit, and unsuited for age group
アメリカでベストセラーになっている漫画です。舞台はアラビアの国。9歳で奴隷として売られた少女の波乱万丈の物語です。テーマは「純愛とエロス」。子どもにはNGだろうけど、すごく面白そう!Amazonのコメント欄を読むうち、私が読みたくなってきました(笑)
Nasreen’s Secret School: A True Story from Afghanistan, by Jeanette Winter
Reasons: religious viewpoint, unsuited to age group, and violence
女子教育が禁じられるタリバン政権下のアフガニスタンで学校に通う少女の物語。内容は示唆に富むもので、アメリカの小学校で課題図書になることもあるようです。一部ショッキングな内容を含むため、子どもに読ませるべきではないと考える人も多い模様。
Two Boys Kissing, by David Levithan
Reasons: homosexuality and other (“condones public displays of affection”)
同性愛をテーマにした本。

 

 

以上は2015年のトップテンですが、過去のトップテンを見ると、知っている本がちょこちょこあったりして、なかなか興味深いです。以下、目についたものをサッとご紹介します。

Harry Potter (series), by J.K. Rowling
Reasons: occult/Satanism
最近はトップ10には出てきませんが、かつてはランキングによく出てきていたようです。私も、別記事で書いたとおり、Harry Potterは子どもの年齢を考えて与えるべき本だと思います
 Captain Underpants (series), by Dav Pilkey
Reasons: offensive language, unsuited for age group
このシリーズもランキングの常連。うちの学校の図書室にもありますが、男子に大人気。下ネタ系をどこまで許容するかはご家庭の方針によると思うので、親がまず読んで判断することになるかと思います。
To Kill a Mockingbird, by Harper Lee
Reasons: offensive language, racism
アメリカ文学の名作中の名作です。いつかは子どもに読ませたい一冊ですが、ショッキングな内容の部分もあるので、子どもの年齢を考える必要があると思われます。
 And Tango Makes Three, Justin Richardson and Peter Parnell
Reasons: anti-family, homosexuality, political viewpoint, religious viewpoint, unsuited for age group. Additional reasons: “promotes the homosexual agenda”こちらも頻繁にランキングに出てきます。タイトルに「タンゴ」なんて出てくるので、セクシーなラテン系のお姉ちゃんのお話かと思ったら、ペンギンの同性カップルが子育てをするお話でした。

 

こうやってランキングを見てみると、よく売れている本や人気の本がたくさん入っていることが分かります。危険な本をチェックするつもりが、面白そうな本が多くて、ひとりでワクワクしちゃいました(笑) 評判が良いので子どもに読ませてみたら、想定外の内容が含まれていて、あらビックリ・・・というような感じなのかもしれませんね。

ベストセラー本にはいい点も悪い点もあります。ランキングに入っているから回避をするというのではなく、クレームが出た理由を確認した上で、子どもに読ませるタイミングをより慎重に考える必要があるということなのでしょうね。

以上、ALAのChallenged bookランキングの紹介でした。

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