世界トップ大学への進学は、誰でも実現できる?

先月出版されたばかりのこちらの本。
著者の方は、偏差値39からUCLAに編入、卒業されているそうです。

「世界トップ大学の進学は、誰でも実現できる」「偏差値39でも、一流の子に変わる」「東大・京大卒に勝てる」などなど、魅力的な言葉が並んでいます。推奨されているのは、コミカレ(コミュニティーカレッジ/公立の短大)からUC系(カリフォルニア州立大学)へ編入するというルートです。
(※なお、細かいことですが、「世界トップ大学の進学」って、日本語としておかしいですね。誤植かとも思いましたが、とりあえず上記ではそのまま記載しました。)

 

そう、このルートなら、世界トップ大学への進学は、誰でも実現できるんですよね。私もそう思います。
ただし、2つ条件があります。

その1:本人が死ぬほど努力する
その2:親に十分な財力がある

・・・あれ、これって、「誰でも実現できる」って言うんだろうか?
実現できる人、めちゃくちゃ少ないような。


以下、上記2つの条件について、もう少し詳しく考えてみます。

まずは、その1:本人の努力
コミカレからUC系へ編入することは裏技でも何でもなく、私の知る限り、このルートを目指す日本人、結構多いです。というより、UC系の4年制大学に在学中の日本人は、大半がこのルートなのではないでしょうか。
確かに、英語力0からのスタートの場合、ストレートでアメリカの大学に入ることは難しいので、これが一番入りやすいルートだと思います。ただ、UCLAやUCBなどのトップ校に入るためには、コミカレでオールAをとっていないと難しいと聞いています。さらにUCLAやUCBの場合、学部によってかなり難易度に差があり、人気学部を狙うなら、オールAの他の人たちと差別化する「何か」が必要です。何かすごい特技があればいいですが、そんな子は滅多にいないので、ボランティアをやったり教授にゴマ擦ったり、勉強以外もいろいろ大変だとか。ただでさえ語学のハンデがあるのに、他のアメリカ人よりも更に秀でたアチーブメントを残さなければならない。かなりハードル高いと思います。
ちなみに、コミカレUCLAやUCBの人気学部卒という知り合いが何人かいますが、いずれも秀才タイプではなく、ちゃっかり要領いい系です。もしかすると、頭の良さよりも要領の良さが必要なのかもしれません。そういう意味では、上記のようなノウハウ本を読んで実践することも有用なのかもしれません。

次に、その2:親の財力
コミカレもUC系も公立だから、留学費用も安いだろうと思ったら、大間違い。
アメリカの州立大は、州内の学生(in-state)と州外の学生(out-of-state)で学費が大きく異なります。in-stateの要件は州によってまちまちですが、一般には、親のどちらかが1年以上その州に住んでいることが必要です。よって、コミカレに何年通っていても、親が日本にいるなら、out-of-state扱いとなり、私学並みの学費負担が必要となります。UCLAもUCBも都会にありますので、生活費が高く、学費とあわせれば、おそらく年間600万円程度の出費になるのではと思います。こんな大金、相当のお金持ちじゃないと、出せないですよね。
なお、コミカレ→UC系の費用については、下記の記事が詳しいです。


冒頭でご紹介した本については、私は読んでいませんので、批判をする立場にはないかもしれません。ただ、「誰でも実現できる」というのは、明らかにミスリーディング。それをいうなら、東大だって、理Ⅲ以外の学部なら、誰でも合格できますよね。本人が死ぬほど勉強すれば、ですけど。

コミカレ→UCルートは、費用もかかるし、リスクもあります。このルートを目指す方は、留学エージェントの甘言などに惑わされず、きちんとご自身で多角的に情報を収集してから進路を決定された方がいいのではと思います。

「世界トップ大学への進学は、誰でも実現できる?」への2件のフィードバック

  1. コミカレから4大への編入は結構トリッキーだとアメリカ人の友だちから教えてもらいました。うまく行けば学費も抑えられていいけど、運が悪いと自分の希望の大学に行くための必須科目が競争率が高くて受けられなくて、コミカレに4年通ったりしないといけないケースもあるんだとか。
    親子でしっかり知識をもって挑まないと、痛い目にあっちゃいそうですね。。。

    1. Norikoさん、こんばんは!コメントありがとうございます。
      希望者が多い科目は、抽選などで受講者が決まるのかな。だとしたら本人の努力でどうにかできるものではなく、運が悪かったら必須科目をとるためにもう一年コミカレに行かなければならなくなっちゃうのでしょうか。これはきつい。。。コミカレに4年、編入後に2年となると、大学を卒業するまで6年かかっちゃいますね(汗)
      うまくいけば英語力が多少低くても世界的に名の知れた大学を卒業できるわけですけど、やっぱりリスクが大きいルートですね。。。

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