教育に関する雑考

分断していく世界とグローバル教育の行方

EU離脱に関するイギリスの国民投票の結果が、様々なところで波紋を広げています。離脱を支持する人が急増していることは認識していましたが、このような結果になるとは想像しておらず、非常に驚きました。

先月、我が家はロンドンに旅行したのですが、ちょうど新しいロンドン市長に初のイスラム系が選出されたばかりだったので、街中がその話題でもちきりでした。そして市内のあちこちで外国人が働いている姿を目にしました。若くスマートな移民二世のリーダーと、街の発展を支える多数の外国人。私たちが見たロンドンは、世界を代表するインターナショナルな都市として、生き生きとした虹色の光彩を放っていました。なので、国民投票がこのような結果になるとは露ほども思っていなかったのです。

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聞くところによると、EU離脱に賛成している人たちは、高齢者・地方在住者・低所得者層が多いとのこと。一方、EU残留を支持するのは、若者・都市在住者・高所得者層が多いとのことです。残念ながら、二つのグループの間の意識の乖離は大きく、その溝を埋めるのは難しいように思われます。

日本の報道などをみると、今回の件が日本経済に与える影響について懸念する声ばかりが聞こえ、多くの人の関心は、「対岸の火事の煙がどこまで流れて来るのか」という点に絞られているように感じます。ただ、本当に「対岸の火事」なのかと言われると、私はちょっと違うと感じています。このように国民が二極化してきているという状況は、実はイギリスのみならず、日本を含めた世界全体で起きていることなんですよね。

今回のイギリスのEU離脱の件と直接の関係はありませんが、以下、アメリカIT業界の重鎮、Marc Andreesenの言葉を紹介してみたいと思います。

There’s no such thing as the middle class. It’s absolutely vanishing. (Marc Andreesen)

People who tell computers what to do, and people who are told by computers what to do. (Marc Andreesen)

Andereesenは、ミドルクラス(中流階級)というものの存在が絶滅しかけていること、そして今後は、テクノロジーの更なる進化によって、世界は「コンピュータを使う人」と「コンピュータに使われる人」に二分化されることを予言しています。

私は、おそらくこの予言は実現するだろうと思っています。それも、そう遠くない将来に。

グローバル化とITの発展により、世界はこれまでにないほど「小さく」なってきています。その激しい変化についていけている一部の人と、それ以外の人との間で、日を追うごとにギャップが大きくなってきているのを感じます。

今回のイギリスのEU離脱の件も、根本にあるのは、「国民の二極化」だと私は思っています。この件で顕著になったのは、「イギリス」VS「他のEU加盟国」ではなく、「世界とつながっている人間」VS「世界とつながっていない人間」という対立構造なのではないかという気がしてなりません。もちろん、EUのメンバーであることのProsとConsを冷静に分析してどちらに投票するかと決めた方もいるとは思いますが、その判断にあたっては、その方の環境や価値観が大きく影響を与えているのではと思います。


私が目指す子育ては、「世界とつながっている人間」を育てることです。英語やITはその道具です。

私が頑張ってこの目標を達成できたとして、その先に待っているものは一体何だろう?仮に自分の子どもがバイリンガルになり、ITに長け、「世界とつながっている人間」になれたとしても、「世界とつながっていない人たち」が過半を占めるような社会では、自分の意見は通らず、自己実現はままならない状況になる可能性がありそうです。なぜならば、舟の舵を握っているのは、多数派の「世界とつながっていない人たち」なわけですから。今回のイギリスの国民投票の結果は、まさにその予兆ような気がします。そうなったら、高い船賃を払って我慢してその舟に乗り続けるか、通りがかかった舟にイチかバチかで飛び移るしかない。けれども一念発起して他の舟に飛び移ってみたところで、その舟も大して変わらない状況だったりするわけです。

日本という国で、これからどれだけ、「世界とつながっている人」が出てくるのだろうか。そして、「世界とつながっている人」を増やすにはどうしたらいいのだろうか。結論としては、「公教育の充実」しかないと思いますが、一体どこまで期待できるのでしょう。この点についていえば、私個人にできることなどないに等しい状況ですから、考えれば考えるほど、暗澹たる気持ちになります。


今年は11月にアメリカの大統領選挙という大きなイベントが控えています。そして、「移民は米国から出ていけ」と声高に主張するトランプ候補が快進撃を続けています。現在はクリントン候補が優位に立っているようですが、5月には一時的にトランプ候補の支持率がクリントン候補を抜きました。

選挙まであと4か月、これからどのように両候補の支持率が推移していくのか、目が離せません。もしトランプ候補が大統領になったら・・・。考えたくはありませんが、世界はより一層分断され、大小様々な無駄な紛争が増え、世界全体が疲弊していくのではと懸念しています。

世界の分断がこれ以上加速しないよう、祈るばかりです。

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