正しい日本語を書くために:公用文ルールを参照する

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海外在住の我が家では、子どもの日本語教育は母である私の役割です。

子どもが書いた文章を添削するにあたって、意外なところで最近役立っているのが、以下の本です。

 

日本語の表記には、大きく分けて、以下の3種類があります(磯崎陽輔「公用文の書き方」)。

1 学校教育における表記
2 マスコミがつかう表記
3 公用文表記

どれも正しい書き方ですが、このなかで、一番ルールが厳格なのが、3つ目の公用文表記ではないでしょうか。公用文というのは、官公庁が作成した文書のことです。各官庁が思い思いの文体・表記で文書を作成すると混乱が生じるので、「国が作成する文書はこういう書き方にしよう」というルールが決まっているのです。

公用文ルールを使って文書を作成しているのは公務員だけではありません。大企業のプレスリリースや、官公庁などに提出する書面など、重要書面を作成する人の多くは、公用文表記を参照することが多いのではないかと思います。私自身も、公務員の経験はありませんが、社会人になりたてのときにこの本をいただき、以降、かなり活用してきました。当時、「~致します」を漢字で書いて、上司にたくさんのバツを頂いたことをよく覚えています。(※「いただく」「ください」「まいります」などの言葉を、動詞ではなく補助動詞として使う場合は、ひらがなで書くのが公用文ルールです。)

 


公用文表記はルールが厳格すぎるくらい厳格なので、子どもにこの書き方を強要するのは現実的ではありません。ですが、上記で紹介した公用文の用字用語集は、同音異義の漢字の使い分けについて、漢字の成り立ちから非常に丁寧な解説がなされていて、非常に役立ちます。

たとえば、「図る」「計る」「測る」「量る」の用法の違いについて。この4つの違いは小学校で習うことで、辞典などにもざっくりとした説明と用例は記載されていると思います。上記書籍では、この4つに加えて、「諮る」「謀る」の合計6つの「はかる」について、合計6ページも紙面を割いて、丁寧に説明しています。その説明は合理的かつ論理的であり、「なるほど!」と納得させられます。

 

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↑ ここから6ページにわたって「はかる」の使い分けが説明されています。字の成り立ちから、その字が本来有する意味が説明されていて、さらに用法例についても解説がなされています。

 

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↑ このように間違いやすい言葉が「あいうえお」順に並んでおり、辞書代わりに使えて、とても便利です。

 
そんなわけで、この用語集、仕事上のみならず、子どもの教育にも使えて、とても重宝しています。ところが私が持っている上記書籍は、出版が1989年と非常に古いんですよね。この間に常用漢字も変わっていますし、ルールにも微妙な改正があるかもしれません。

 
というわけで、新しい書籍を、現在物色中です。今使っている本は、気になった言葉があったときに辞書がわりにさっと引けるので、とても使いやすいです。なので、その新版をポチしようとしたのですが・・中古しかない上、値段が高い!これで改訂箇所が少なかったら泣きますね。

公用文の書き方については、他にも色々な書籍が出ている模様なので、一時帰国のときに八重洲ブックストアか霞が関の官庁街の書店に行って、実物をチェックしてから、どれを買うか決定しようと思います!

 

      

一番最後のものはマスコミ表記に関する解説書ですね。これもなかなかよさそうです!
 

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