子どもと楽しむロンドン:大英博物館(British Museum)

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子どもと楽しむロンドン、3つめの記事では、大英博物館について書こうと思います。

イギリスがその最盛期に世界中から強引に集めた人類の至宝が盛りだくさん。広い館内は、どこから見ようか迷うくらい、お宝だらけです。

しかも、うれしいことに、

入場料が無料!!!

 

以下、子どもと一緒に楽しむためのコツをご紹介します。

① 事前に見るものを決めて、計画を立てる
② Hands on Deskを活用する
③ ショッピングや食事の時間も計算に入れる

 

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こちらはギリシャのパルテノン神殿の彫刻。神殿の三角屋根の部分の中にあった彫刻が、大英博物館にあるのです!屋根の上だと、下から見上げるしかないわけですが、ここでは目の高さで見ることができます。また、屋根の上にある限り人目に触れることのない裏側にも、精緻な彫刻が施されていたことが分かります。

 

 


① 事前に見るものを決めて、計画を立てる

とにかく広い博物館で、その上いつも混雑していますので、見るものを絞って行かないと、効率よく回ることができません。全部をダラダラと見るのではなく、見たいものを絞って、それをじっくり見るようにした方がいいです。

子ども向けのmust see itemsは、大英博物館のHPに一覧が掲載されています。
子供たちと見る展示品(日本語)

一覧になっているのはいいのですが、各展示品についての説明が書いていない・・・。というわけで、大英博物館の所蔵品についてのBBCの解説サイトなどを見ながら、各展示品について概要をまとめてみました。我が家用に作成したものですが、どなたかのお役に立つことがあるかもしれないので、本記事の最後に貼付しておきます。サササと作ったので、細かいミスなどあるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

以上のほか、今回の訪問の下調べ&予習で役立ったものを3つほど紹介します。

一つ目の「山川 詳説世界史図録は、高校の世界史の授業で副教材として使う資料集です。出版社は歴史の教科書に定評がある山川出版。大きな博物館に行くときには、我が家はこれを必ず持参します。カラフルな図や写真がふんだんに使われており、解説もコンパクトかつ分かりやすいです。世界史についての知識が乏しい私には、とても助かる一冊です。大英博物館の所蔵品の写真もかなり多いので、我が家では事前に子どもと一緒にこの本を眺めて、「この本物が見られるんだよ~。探してみようね!」などと話をしました。

二つ目の「2時間で回る大英博物館 ~究極の完全ガイド~」は、NHKで放映された大英博物館特集をDVDに収録したものです。コンパクトかつ分かり易く見どころがまとまっており、なかなかよいです。我が家は、上記の子供たちと見る展示品(日本語)に加え、このDVDで紹介されている展示物を回りました。繰り返し何度も見るようなDVDではないので、図書館などにあるようでしたら、そちらで借りた方がよいと思います。

三つ目の「世界の歴史 (1) エジプトとメソポタミアの繁栄 : 古代オリエント」は、集英社の「まんが世界の歴史」シリーズの第1巻です。大英博物館の価値ある収蔵品は、メソポタミアやエジプトのものが圧倒的に多いので、読むのはこの第一巻のみでよいかと。なお、この種の歴史漫画は色々な出版社が出していますが、この集英社版のものは、大英博物館の収蔵品の写真がちょこちょこ出てくるので、予習用にもってこいです。

  

② Hands on Deskを活用する

館内5か所に、Hands on Deskというものがあります。
Hands on Desk所在場所一覧

これは、博物館の所蔵品の一部を実際に手で触ることができる場所です。キュレーターの方がいて、所蔵品について色々説明をしてくれます。このキュレーターの方たちは、子どもの扱いにとても慣れていて、かつ専門知識も豊富です。子どもが質問をすれば的確に答えてくれるし、うちの子ども達のように自分からガンガン話すタイプの子どもでないときには、たとえば、「これは1600年ころのコインよ。ということは、今から何年くらい前のものかしら?」という感じで、子どもに問いかけてくれます。英語でインタラクティブな知的体験ができる貴重な場所です。

我が家はHands on Deskの場所を事前にチェックしていなかったので、立ち寄れたのは一ヶ所だけ。次回訪問するときは、全Deskを回りたいです!

③ ショッピングや食事の時間も計算に入れる

大英博物館は、ショップやレストランも充実しています。ショップはセンスがいいお土産がいろいろそろっているほか、おもちゃや書籍もたくさんあります。レストランは、我々は利用する時間がなかったのですが、展示にあわせたユニークなメニューなどもあるようで、なかなか評判がいいみたいです。

主要な展示をみるのにかかる時間は2~3時間程度と思いますが、これにショッピングや食事の時間もあわせて、訪問の計画を立てるといいと思います。

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エジプト関連の展示品は、質、量ともに圧巻です。じっくり見たら、エジプト関連のみで一日かかりそう。

 

以上、子どもと大英博物館を楽しむコツを3点ほど紹介してみました。

他にも、ファミリー向けの各種イベントがあったり、さらにはお金を払って博物館の賛助会員になると館内でのSleepover(宿泊会)などに参加できたりするようですが、駆け足旅行の我が家には無理でした。

今回、見逃してしまった展示品などもあるので、機会があったらまた訪問したいと思っています!

 


大英博物館「子ども達とみる展示品」一覧
(大英博物館HPより)
※展示場所は2016年5月現在のものです。今後変更となる可能性がある点、ご容赦ください。

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1階 (Ground floor)

  1. Statue of Ramesses the Great(Room 4)

紀元前13世紀ころのエジプトのファラオ、ラムセス2世の胸像。ラムセス2世は、エジプトを強くした偉大な王様として後世に名前を残した。高さ2.67m、重さ7.25t。

  1. Hoa Hakananai’a(Room 24)

イースター島のモアイ像。イースター島は、太平洋にうかぶ小さな島。そこの住民たちは、人間の形をした大きな石の像を作って、崇拝していた。イースター島のモアイ像は、やわらかい岩でできているものが多いが、このモアイ像は固い岩でできているので、保存状態がとてもよい。背中一面に鳥の姿をかたどったような彫刻がある。イースター島のモアイ像がことごとく倒されたあとも、この像は立ったまま残っていたといわれている。

  1. The Rosetta Stone(Room 4)

ロゼッタストーン。紀元前196年に出されたエジプトのファラオの命令が刻まれている。古代エジプトのヒエログリフ、古代エジプトの民用文字、古代ギリシャ文字で同じ内容のことが書かれている。古代ギリシャ文字は解読されていたため、ヒエログリフ解読の突破口となった。

  1. Chinese Tang tomb figures(Room 33)

8世紀の中国の軍人、Liu Tingxunの陵墓から発掘された埋葬品。死後の生活のために必要と信じられたものが一緒に埋葬されている。なお当時の中国は、シルクロードを掌握したことにより、世界で最も強く、豊かな国だった。

  1. Double-headed serpent(Room 27)

15~16世紀に作られたアステカ帝国の装飾品。トルコ石による装飾がなされている。アステカは今のメキシコのあたりにあった国で、スペインに征服されて滅びている。このサーペントのモザイクは、儀式のときに胸のあたりにつけるものとして使用されていたと思われる。サーペントのそばには本物の人間の頭蓋骨をベースにトルコ石で装飾された仮面もあり、こちらも必見。

  1. Sutton Hoo Helmet(Room 41)

7世紀の船葬墓の埋蔵品。当時は貴人を舟に入れて埋葬する習慣があった。イギリスではアングロ・サクソン時代のかぶとは四個しか見つかっておらず、このかぶとはそのうちのひとつ。イギリス人であれば誰でも知っている一品で、「イギリスのツタンカーメン」と呼ぶ人もいる。目から鼻にかけて龍が翼を広げたような装飾が施されている。

 

2階 (Upper floor)

  1. Head of Augustus(Room 70)

ローマ帝国の初代皇帝、アウグストゥスの像。もともとはエジプトにあったもの。アウグストゥスは、養父カエサルの後を継いで内乱を勝ち抜き、エジプトを含めた地中海世界を統一して帝政(元首政)を創始、パクス・ロマーナ(ローマの平和)を実現した。ちなみにアウグストゥスは、ラテン語で「尊厳ある者」を意味しており、「8月」の語源になった。

  1. Mummified bull(Room 62)

エジプトのロバのミイラ。他にも、猫のミイラやワニのミイラなどがそばにある。

  1. Royal Game of Ur(Room 56)

紀元前2600~2400年ころのもの。世界最古のボードゲーム。さいころをふってコマを進めるすごろくのようなもの。メソポタミアのもので、墳墓から発掘された。インドではかなり最近まで同じようなゲームがあった。

  1. Hoxne pepper pot(Room 49)

イギリスのHoxneで発掘された財宝の一部。底にある穴から、コショウ入れとして使われていたと推測されている。当時コショウは大変貴重な品で、ヨーロッパでは栽培されておらず、インドから輸入されていた。このコショウ入れはローマ帝国の4~5世紀ころの女性の形をしている。他にも同じ場所から多数の財宝が発掘されているが、誰が埋めたのかはいまだにわかっていない。

  1. Pieces of eight(Room 68)

16~17世紀のスペインの銀貨。広大なスペイン帝国のみならず、国外でも広く流通していた。いわば世界初のグローバルコインともいえる。1枚あたりの価格は現在の50ポンドくらい。

 

地下階 (Lower floor)

  1. Benin plaque: the oba with Europeans(Room 25)

アフリカのナイジェリアにあったBenin帝国のもの。作られたのは1500~1600年ころ。中央に描かれているのは王(oba)、左右にいるのはポルトガルの商人と思われる。

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