我が家は長女が7歳半のとき、次女が5歳半のときに、海外のインターに子ども達を転校させることになりました。きっかけは夫の海外転勤ですが、以前から、この時期に家族で海外に行けるといいねと夫婦で話をしており、いろいろな働きかけや調整を経て、計画を実現させました。
我が家では、子どもたちのバイリンガル教育だけでなく、中学受験の可能性や、夫や私自身の今後のキャリア形成、親の年齢(将来起こりうる介護問題)などを総合的に考慮し、この時期を選びました。よって必ずしもバイリンガル教育を最優先に考えて海外に出る時期を決めたわけではないのですが、この年齢&このタイミングで子ども達を英語環境に放り込んでみた結果どうだったか、現時点での所感をまとめておきたいと思います。
(ちなみに、もともと夫と私はアメリカ以外「out of 眼中」だったのですが、色々あって行先はアメリカではなくヨーロッパになりました。結果どうだったかという点については、長くなるので、また記事を改めて書きたいと思います!)
英語環境への順応力
5歳半の次女の場合、周囲の環境への順応はとても早かったです。泣いたのは初日だけ、翌日からは友達の輪に入って元気に遊んでいました。幼稚園児くらいの年齢ですと、子ども同士のコミュニケーションにおいて会話の重要性はさほど高くなく、ただ走り回っているだけで楽しめるので、英語力0でも周囲に溶け込むのにさほど苦労はしないと思われます。
一方、長女の場合は、次女に比べると、新環境になじむのに時間がかかりました。最初の2週間くらいは友達もできず、休み時間は孤独だったようです。時折学校でも涙を見せていたようです。ただ、1か月を経過すると、仲がよい友達ができて、いつの間にか学校大好きに変わっていました。今はたくさんの友人に囲まれ、毎日本当に楽しそうです。
それではもう少し年齢があがるとどうでしょうか。同じインターの他の子ども達をみていると、特に女の子の場合、小学校高学年以上になると、日本人のみで行動している場面が多く見られます。英語がある程度できる子どもでも、この傾向は見受けられます。友達と他愛もないおしゃべりをするのが好きな年頃ですから、母語の日本語で心置きなく話せる相手がいればそれが一番心地よいと感じるようになるのは自然なことなんだろうなと思います。私だって、日本人のママたちと世間話をしているときが一番楽しいですしね。一方、男子の場合はどうかといいますと、スポーツとかゲームとか、おしゃべり以外の楽しみが多いせいでしょうか、女子に比べると日本人のみで固まっている率は低いように思います。
以上、環境への順応という観点からみると、あくまで一般論ですが、
・年齢は低い方が英語環境への順応は早い
・特に女子は年齢があがると英語環境への順応が難しくなる
ということが言えるのではないかなと思います。
英語を吸収する能力
小さな子どもは驚くべきスピードで言葉を学ぶといいます。確かに、幼稚園児の場合、英語環境で過ごせば、1~2か月で、簡単な言葉でコミュニケーションをとりながら、他の子ども達と遊ぶことができるようになると思います。
でも、このくらいのレベルの英語であれば、日本でも十分に習得可能なのではと思います。特に今は、インターネットの発達に伴い、スカイプを使った英会話やyoutubeなどを活用すれば、少ない投資で生の英語に触れる機会をたくさん作ることができます。わざわざ海外に出かけてplayground conversationを習得させる必要があるのかな。結局のところ、母語すら確立されていない段階で英語環境に放りこんでみても、到達できるレベルには限度がありますし、日本に戻ればすぐに忘れてしまいます。なので、「吸収力のある幼児のうちに親子留学を!」みたいな宣伝文句を見ると、なんだかなあと思ってしまいます。
一方、臨界期仮説というものが盛んにささやかれるように、年齢があがると語学の取得が難しくなるのも確かなようです。他のご家庭などの話を聞いていると、小学校高学年以上になると、小さい子どものように簡単にはいかないようです。ただ、臨界期というもの自体あいまいですし、周囲をみると、中学生以降の海外留学でも、本人の努力によってネイティブレベルの英語力を身につけている例はそれなりにあるように思います。特にもともとの学力の高い子は、英語の上達も早いです。おそらく日本語という土台がしっかりしているので、英語も入りやすいのでしょう。
さて我が家の場合、長女は日本で国語をしっかり勉強させてから英語環境での学習をスタートさせたので、学校の授業でのインタラクティブなやりとりを通じ、いい感じで英語力をアップさせているように思います。次女の方も着実に英語力を伸ばしていますが・・・「さすが帰国子女!」といえるような英語力は残念ながらありません。まだまだ日本語力の向上に力を入れなければいけない時期なので、英語と日本語の習得の両立が大変です。
以上、英語の吸収という点から検討すると、
・小さい子は吸収も早いが忘れるのも早い。
・母国語が不十分な状態で英語環境に放り込んでも到達度はたかが知れている。
・一般論からいえば、小学校高学年以上になると英語の習得はより困難になる。ただし本人の能力&努力で、中学生以上でも、海外留学でバイリンガルを目指すことは可能。
ということが言えるのかなと思います。
まとめ
以上、①英語環境への順応性と、②英語を吸収する能力の2点から、海外留学に適した年齢&タイミングについて考えてみました。前者を重視するなら年齢は小さい方がいいですし、後者に重きを置くのであれば日本語がしっかり身についてからの方がいいということになるかなと思います。
上記の2つは両方とも大切です。あくまで私見になりますが、総合考慮すると、もし海外に年単位で留学させてあげることができ、かつその時期を任意に選べるのであれば、小学校2~3年生くらいの時期に行くのが、子ども本人の心理的負担も比較的少なく、かつ効率的に英語を習得させられるのではないかと思います。
ただこの時期は、国語力も同時に鍛えていかなければならない時期でもあります。よって、日本の教育システムに戻ることを予定しているのであれば、日本語の学習について家庭でのサポートが不可欠であることに留意が必要だと思います。