日本の小学校では2年生の秋に九九を勉強します。「にいちがに、ににんがし・・・」と呪文のように繰り返し唱えて覚えましたよね。今回は子ども達のインターで「九九」をどのように勉強しているのかを紹介してみようと思います。
掛け算のことを英語でmultiplicationといいます。九九表は、times tableです。
先日、長女のクラスではこんなプリントが配られました(一部抜粋)。
1×1から9×9までの式がずらっと並んでいます。呪文のように唱えてできる限り早く言えるように練習するという点は日本と一緒ですね。ただ、「さんくにじゅうしち」が、英語になると、Three times nine is twenty-sevenとなります。唱え方は人によって多少の違いがあり、timesのかわりにbyを使ったり、isを抜かしたりするやりかたもあるようですが、いずれにしても、日本語に比べると、かなり長いです。
「こんな文章で果たして九九が覚えられるのか?」ですが、
はい、覚えられません。
2年生の秋からはじまった九九ですが、3年生の冬になってもいまだにやっています。
それでもまだ全員はマスターしていないようで、先日の保護者会で、先生から、「times tableをまだきちんと覚えていないお子さんがいます。大変だとはわかっていますが、重要なところですのでご家族で取り組んでください。」と念押しがありました。
我が家の場合、長女も次女も九九を覚えるのにさほど時間はかからず、苦労した記憶もありません。日本語の場合は数を表す言葉がシンプルなので、九九をリズミカルに唱えやすく、ゆえに記憶への定着を図りやすいんでしょうね。中国人も日本人同様にリズミカルに唱えて覚えるようで、multiplicationには苦労していないようです。
日本人の子どもは欧米の子どもに比べて算数がよくできると言われています。しかしこれは日本人の頭脳が優秀なわけではなく、母語で九九を覚えやすいからなのではと感じています。数を表す単語がシンプルだと、九九もすっと頭に入りますので、2ケタの掛け算とかその次のステップにもスムーズに進めるわけです。計算問題を解くときも九九がさっと出てくるので、答えが出るスピードも速くなります。2×2は「ににんがし」ですが、英語だとおそらく、同じくらいの時間で「Two times…」までしか言えないんですよね。九九に四苦八苦する他のクラスメイトをみると、算数に限っていえば、母語が日本語なのは、かなりのアドバンテージになっているなと感じます。
バイリンガル環境にあり普段は英語で学校生活を送っていらっしゃるお子さんも、九九だけは日本語で覚えた方がよさそうです。