「どのくらいの英語力があればバイリンガルといえるのだろう?」
「バイリンガルって、そもそも何だろう?」
子どもの英語教育に関心がある方なら、一度は疑問に思うポイントではないでしょうか。
バイリンガルという言葉になにか絶対的な定義があるわけではないので、結局はとらえ方次第だと思うのですが、自分なりにちょっと調べてみましたので、備忘録も兼ねてここに記載しておきます。
「バイリンガル」を辞書で引くと
まずは、家にある辞書や、Web上の辞書で、「バイリンガル」を調べてみました。
状況に応じて二つの言語を自由に使う能力があること。また、その人。<実用日本語表現辞典>
2つの言語で話せる能力を持つ人を意味する語。
<小学館・デジタル大辞泉>
2か国語を母語として話すこと。また、その人。
able to use two languages equally well<Oxford English Dictionary>
speaking two languages fluently
<Dictionary.com>
able to speak two languages with the facility of a native speaker
<Merriam-Webster>
able to speak and understand two languages
特筆すべきなのは、speaking能力に着目した記述が多かったこと。7つの辞書のうち5つがspeaking能力に言及していました。年齢相応の読み書きができなくても、年齢相応の会話ができるなら、「バイリンガル」と言っていいのかな。
母国語レベルの能力が必要かどうかについては、辞書により記述にばらつきがありました。母国語レベルと言い切っていたのは、7つの辞書のうち2つだけ。とはいえ、他の辞書の定義でも、「自由に使える」「fluently」などの表現が用いられており、母語に近いレベルのコミュニケーション能力が必要ということにはなりそうですね。
なお、日本語の「バイリンガル」の意味と、英語の「bilingual」の意味には、辞書の記述を見る限り、有意な差は見受けられませんでした。
バイリンガルのカテゴリー
バイリンガルは定義づけが難しいため、言語学者のなかには、バイリンガルをさらに細かくカテゴライズしようと試みている方もいるようです。
一番よく見受けられるのは、以下の分類でしょうか。2つの言語の能力差に着目したカテゴライズです。
- 二重バイリンガル(均衡バイリンガル)
2つの言語を母国語レベルに同等に使うことができる人。英語ではbalanced bilingualという。 - 偏重バイリンガル
2つの言語のうちどちらか片方が優勢な人。
言語取得のタイミングによる分類もあります。
- 早期バイリンガル(同時バイリンガル)
2つの言語を同じタイミングで習得したバイリンガル。
- 非早期バイリンガル(継続バイリンガル)
2つの言語の学習時期にずれがあるバイリンガル。
「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能の発達の差異に着目した分類もあるようです(中島和子「バイリンガル教育の方法」)。
- 聴解型バイリンガル
「聞く」ことのみができる人 - 会話型バイリンガル
「聞く」「話す」ができる人 - バイリテラル
「聞く」「話す」「読む」「書く」ができる人
バイリンガルのタイプ別に、あるべき教育法なども研究されているようですが、今日はそこまではたどり着けませんでした。役立ちそうな論文などが見つかったら、またご報告しようと思います。