公文では3か月に一度、「進度一覧表(ダイジェスト版)」というものが配られます。全国の幼児~中3の各学年の受講生について、全国のトップ20くらいの子どもの進度が記載されています。
毎回これを見るたびに目がテンになるんですが、幼稚園で中学生レベルの算数をやってる子、結構いるんですよね。いやーすごい。たぶん私でも解けないような問題を解いているんだろうな・・・。
進度一覧表をみると、日本中のあちこちに数学の天才がいるように思えるのですが・・・「公文をやっていた有名人」として名前があがるのって、羽生名人くらいで、その後公文で培った数学の技能を生かして大成している人というのは、寡聞ながら知りません。
公文の算数でいつも思い出すのが、私が小学校のときに通っていた塾で一緒だったA君のことです。私は当時公文をやっていなかったので詳しいことはよくわからないのですが、周囲の公文経験者の友人らに言わせれば「やつはすごい、飛びぬけている」とのこと、おそらくかなりの成績上位者だったのではないかと思います。確かにA君は、誰よりも計算が早くて、いつも4教科のなかで算数の点数が飛びぬけてよかったです。
そのA君ですが、なんと高校に入ったら数学を捨てて、文系になってしまいました。大学時代に会ったときに、「どうして文系にしたの?びっくり!」と本人に言ったら、「そんなに意外?でも俺、昔から算数は好きじゃなかったんだよね~」と思わぬ答えが。
一方、当時の塾のクラスには、もう一人算数がずばぬけてできるB君という子がいました。彼は公文っ子ではなくて、計算の速度が格別速かったわけではなかったのですが、とにかく算数の問題を解くのが大好き。数字そのものへの関心、そして算数の問題への食いつきがすごいのです。それから、あまり具体的に書くと名誉毀損になっちゃいますので伏せますが(笑)、当時から「変人」とあだ名がつくくらい、とにかく変わった子どもでした。
B君は、東大の数学科を出て、いまは某国立大学で数学を教えています。難しい論文などを書いて表彰などもされており、学会でも注目を集める数学者の1人のようです。B君がどんな論文を書いているのだろうと興味があったので見てみたことがありますが、私のような凡人にはまったくもって意味不明の内容でした。職歴などから推察するに、将来、東大の数学科の教授になるのではと思います。
B君を見るかぎり、数学の才能というのはかなりの部分、遺伝で決まってくるのではないかという気がしています。だってB君、10歳のころから、本当に本当にすごく変わった子だったから。あれは後天的なものではないです。天賦のものです。
そして、公文のプリントを毎日必死にやって上位に食い込んでみても、数学というフィールドで、天賦の才能を持った人間に勝つことは無理なんじゃないかという気がしています。親の自己満足で終わる可能性が高いし、場合によってはA君のように、数学ぎらいになってしまう可能性もあるんじゃないかなという気がします。
ちなみに現在のA君ですが、弁護士をしています。もしかしたら公文で培った何かが彼の人生でプラスになっている部分があるのかもしれませんが、これは本人に聞いてみないとわからないですね。
そんなわけで、進度一覧表が配られるたびに、衝撃を感じつつも、「いやいやうちはマイペース。のんびり行こう。のんびり!!」と自分に言い聞かせている私です。