少し前になりますが、ちきりんさんという有名なブロガーの方が以下のような記事を書いていました。
要約すると、以下のような内容です。
- 日本の財政が将来破綻する可能性は低い
- 日本は世界で最も住みやすい国のひとつであることに加え、語学の壁もあるし文化も違うので、国民(特に富裕層)が他国に流出する可能性は低い(資産だけ海外に移したいという人は多いが、ほんとに日本を出ていく覚悟のある人はほとんどいない)
- 日本は消費税の上げ余地が大きく、いざとなれば消費税を上げて財政のバランスをとることが可能。
非常に鋭い分析で、なるほど~という感じです。この先10年くらいはこのとおりになるでしょう。ただし、中長期的な視点で見れば、果たしてこの分析どおりにいくのか、私は疑問に思っています。確かに日本で育って日本で教育を受けた私の世代の人間からすると、すぐに海外に移住するのは、ハードルが高いです。でも、私の周囲には、すでに海外に永住の意思を固めている人や、将来的に日本を脱出することを視野に入れて着々と準備を進めている人が増えているように感じています。
そんなわけで、私の周囲の人たちがどのように日本脱出を試みているか、紹介してみようかなと思います。
①資産を海外に移す
日本の相続税は高いですが、実は世界には相続税0という国も結構たくさんあります。身近なところだと、香港、シンガボール、マレーシアなどが0だそうです。また、日本の相続税は、相続人と被相続人の両方が海外移住をし、実際に海外に住所を移してから5年経過した場合には海外資産にはかからないので、超富裕層を中心に、海外移住の傾向が見られます。有名な例としては国税訴訟になって国が負けた武富士創業者一族の件がありますね。
海外移住による相続税対策は色々コストがかかるので、実際にやっているのは、上場企業の創業者一族等、ごくごく限られた人になろうかと思います。ただ、とりあえず先のことはまだ分からないけど、日本ではなく将来居住する可能性がある海外に資産を置いておこう、と考えているプチ富裕層は、確実に増えているように思います。
そういえば、つい最近、知り合いの方が亡くなったのですが、資産のかなりの部分が香港にあったようです。かなり若くして亡くなられたので、相続税対策にはならず、逆に相続手続きでリーガルコストがかかってしまったようですが(香港に資産がある場合、相続にあたって裁判所での手続きが色々必要なのだそうです)、資産購入時と比較すると香港ドルが円に対して1.3倍くらいの価値になっていたとかで、結果的にはかなりの+αが出た模様です。
このように、日本で働きながら、資産は将来居住する可能性がある国に移し、将来的には日本を脱出しようかなと密かに考えている人、それなりにいるのではという気がします。「日本を捨てるつもり」なんて言うのは感じが悪いので、内緒にしている人もいるのでは。
②国際結婚
私の周囲では、配偶者が外国人という女友達がかなり多いです。欧米人と結婚した友人が多いですが、中には途上国の大富豪に嫁いだ人もいます。
もちろん好きになった人が外国籍だったから国際結婚をしたわけですが、日本脱出を考えて積極的に外国の方と出会う機会を作った結果そうなったというケースが結構多い気がします。
また、ハイキャリアな女性の場合、日本人男性はおびえて去っていってしまうようなところがあるので、相手の女性の年齢とか地位とか年収とか学歴とかをあまり気にしない外国人男性の方が結婚にたどり着きやすいというのもあるようです。
「彼女に釣り合うような男性はなかなかいないだろうな~」と思っていた人が、外国人と結婚し、海外へ・・・。日本の優秀な人材がどんどん海外に流出していっているのを感じます。
③出生地主義の国で出産
広く知られていることですが、アメリカで生まれた子どもは親の国籍を問わずアメリカ国籍を取得することができます。子どもがアメリカ国籍を保有していれば、将来アメリカへ家族で移住することが比較的容易になります。最近は中国人や韓国人が国籍を取得する目的でアメリカで出産をするケースが激増して問題となっているようですが、日本人でも、同じようなことを考える人は結構いるような気がします。さすがにあからさまに出産目的のみで渡米する人は周囲にはいませんが、駐在、留学などの際についでに産んじゃえ~!と計画的に出産をする人は多いです。
実は我が家がこのパターン。長女がアメリカ国籍を保有しています。大学院の卒業式の10日後に産んで、生後2か月で日本に帰国しています。ただし、私の場合、産休・育休で仕事に穴をあけたくなかったので、留学期間と妊娠期間を重ねることにした結果、こうなった感じでして、国籍取得を主目的としていたわけではありません。
④留学or駐在→現地で就職
私自身が大学院留学をしているからか、留学後にそのまま現地で就職し、そのままそこに住んでいるというパターンが、周囲に結構多いです。
また、駐在中に、現地採用に切り替えた人や、切り替えを試みている人なども、散見されます。
いずれも、家族が現地の生活に馴染めなければ、そのまま留学or駐在終了とともに本帰国をすればいいので、いきなり日本から海外に飛び出すよりもリスクが低く、賢い方法だと思います。ただ、普通の日本人が海外で就業先を見つけるのは容易ではないですし、特に駐在の場合には駐在時と比べるとお給料が落ちてしまう可能性が高いので、実際に実行に移すのはなかなか大変だと思います。
⑤母子での海外生活(教育移住)
パパは日本、ママと子どもは海外で生活というパターンです。何となくですが、パパが医者や弁護士などの比較的裕福な自営業についている方が多い気がします。自営業の場合、日本で軌道に乗っているビジネスをわざわざ捨てて海外に行くという選択肢は取りにくいですし、海外赴任もないので、母子での教育移住という選択肢になるのでしょう。
あとは、私の周囲では、海外赴任が長いご家庭で、パパの帰任後もそのまま母子が現地に残るというパターンも結構あります。子どもは現地の大学を出てそのまま現地で就職、ママもそのまま現地に残るというケースです。その後母が日本に戻るか父が定年後に日本に戻るかはご家庭によるようです。子どもの現地での教育が長くなり、日本の教育制度に戻すことが難しくなったケースは前者、海外移住を積極的に志していた場合は後者になることが多いようですが、VISAが取れるかどうかでも異なってくるようです。
長くなりましたが、私の周りをみると、以上のように、すでに海外に永住の意思を固めている人や、将来的に日本を脱出することを視野に入れて可能性を模索している人が、結構多いように思います。我が家の場合は、とりあえず現時点では海外移住は考えていませんが、もし10年後くらいにアメリカあたりに海外赴任することになったら、そのままそこに住みついちゃう可能性はありそうです。また、子ども達には、海外でも支障なく生きて行けるような能力を身につけさせたいと考えて教育をしていますので、それがうまくいけば、子ども達は将来日本以外の国で生活することになる可能性が高いでしょうね。
ちきりんさんが指摘されているとおり、日本はとてもよい国だと思います。安全で秩序立っていて、ごはんがおいしくて、独特の素晴らしい文化があって。非常に住みやすいです。ただ、これからもそれが続くかどうかは分からないですよね。本当に「日本から出ようとする人なんてほとんどいない」ならいいけど・・・そうなんでしょうか?数字で反論の根拠を示せるわけではないのですが、なんとなく、違うような気がしています。
色々な可能性を考えながら、人生の節目節目で、家族にとってベストの選択肢をとっていければと思っています。