英語に関する本は世の中に山ほどありますが、名著と呼ばれるものはごく僅か。
これはそんな名著の1冊です。
初版が出版されたのは1988年。もう30年近くも前になります。
私がこの本をはじめて読んだのは大学生のときだったかな。語学の授業の課題図書だったように記憶しています。その後結婚したら夫が持っていたので、2回くらい読みました。最近時間ができたので、10年ぶりくらいにまた読み返してみました。トータルでカウントすると4回目になるのかな。にもかかわらず忘れていることが多くて、勉強になりました。
著者はアメリカ人で、大学で英語を教えている方です。英語のネイティブスピ-カーが、英語と日本語の発想の違いや、日本人が英語で間違いやすいポイントを、日本語で解説しているという、ちょっと珍しい本です。著者が大学教授ということもあり、アカデミック・ライティングを意識した記述が多く、英語の基本はだいたい分かっているけど、もっと洗練された英文を書けるようになりたいという方にうってつけと思います。
以下、「日本人の英語」を読んで参考になったポイントのまとめです。自分用の備忘録なので分かりにくくて恐縮ですが、この本にどんなことが書いてあるかイメージをつかむのにいいかなと思ったので載せておきます。参考になれば幸いです。
・theはどんな単語につけるべきか
冷蔵庫はthe freezerだけど電子レンジはher microwave oven。
どこの家庭にでもあるものはtheがつくけど、一般的ではないものにはtheをつけない。
【※ただし電子レンジが普及した現在ではtheをつける表現の方が一般的なようです。】
・手段としてのby, with, through, onの使い分け
「双眼鏡で観察する」はwith binoculars。
byを使うと双眼鏡自体が意識を持っているようなニュアンスになってしまう。
手段がものを処理して運んでくるようなイメージのときにはonを使う(例:on a typewriter)
・onとinの使い分け
「車に乗れ」はGet in the carで「電車に乗れ」はGet on the train。
乗り物の運転への関与の度合いでonとinは違ってくる。
・offとoutの使い分け
Clean outとclean offの違い。
outは中から外へというイメージなのに対して、offは表面から離れるイメージ。
・完了形と完了進行形の使い分け
She will have been crying for two hoursだと2時間泣き続けていることに。
単なる未来完了だと泣いている時間の合計が2時間という意味になる。
・現在完了形の意識と使い分け
「契約にサインをした」はWe have signed a contract。
単なる過去形だと取引がすでに終了しているイメージになってしまうので要注意。
・「特に」の表現
Especially,・・・は×。書くならIn particular,・・・。
・「よって」の表現
Accordinglyは「・・・に応じて」というニュアンス。
Consequentlyはある状態の当然の結果というニュアンス。
Thereforeは非常に堅い論理的関係を示す。
SinceとBecauseは論文にちょうどいい堅さ。
Therebyは「ある行動によって」、Henceは「ある状態によって」というニュアンス。
ところで、初版の出版から30年近くがたち、ピーターセン先生はどうしているのだろうとおもって調べてみたところ、今でも明治大学で教えていらっしゃることが判明しました。こちらは2年前のインタービュー記事です。
“I like dog.”と言ったら「えっ、犬の肉が好き!?」
ネイティブに通じない、間違いだらけのニッポン英語
――『実践 日本人の英語』著者 マーク・ピーターセン氏に聞く
「日本人の英語」の後も、精力的に著作活動を続けていらっしゃる模様です。
自分の英語力をもう少し向上させたいなと思っているのですが、正直フリートークの英会話レッスンはもういいやというかんじで、もっと洗練された格調高い英文を書けるようにしたいなと思っていたところでした。まずはピーターセン先生の著作を順に読んでみようかな。読後の感想など、またアップしたいと思います。